異人種カップルを表す絵文字、新たに承認 社会の多様性を反映

 1664年に、メリーランド州は、白人と黒人奴隷の結婚を禁止する最初のイギリス植民地法を可決した。1883年、アメリカ合衆国最高裁判所は、異なる人種間での結婚を禁止する州法は、80年以上の間施行されてきた憲法修正第14条に抵触しないという判断を示した。

 自由な結婚の妨げとなるこのような障害は、時間の経過とともに廃止されたが、克服しなければならない課題は、小さいながらもいまだに存在している。そして2019年、人種の違いを越えたカップルたちは祝福すべき小さな勝利を獲得した。有色人種のカップルを表す絵文字の71種類のバリエーションが、新たに承認されたのだ。

 1年間のプロジェクトを経て、右スワイプを特徴とするデートアプリのティンダー、技術系活動家グループのエモジネイション、およびユニコードコンソーシアムの関係者たちによって、人々が「手をつないでいる」様子を表した絵文字キャラクターが追加された。また、「性差別のない」カップルの絵文字も含めた230種類の新規キャラクターも承認された。

 これまでにも、2人またはそれ以上の人々を表す絵文字は、様々なプラットフォームやデバイス上で利用できたが、その肌の色はデフォルトの黄色のみが利用可能だった。グーグル、マイクロソフト、およびアップルが投票権を有し、リー氏が絵文字の小委員会の副議長を務めているユニコードコンソーシアムが肌の色の追加を承認した。その一方で、ユーザー企業は今年の後半以降、それらの新たな絵文字を追加するかどうか、また、追加する場合はどのようなデザインにするかをそれぞれ独自に決定する予定だ。

 ティンダーの最高マーケティング責任者であるジェニー・キャンベル氏は、同社がユニコードコンソーシアムに提出した技術的な提案を支持するキャンペーンと署名運動を繰り広げた後の絵文字の配布については楽観的だ。

 キャンベル氏は7日、AP通信に対し「我々は最終的に、平等のためだけではなく人種を問わずすべてのカップルが広く受け入れられる願いを込めて、世界中の人々が人種の壁を越えたカップルの絵文字をキーボードから入力できるようにしたいと考えた。当社のユーザーは、自分自身を視覚的に表現し、日々交わされるテクノロジー言語に自分自身を写し出すのを確かめる方法を強く欲している」と語る。

 その他、多くの有色人種の絵文字愛好家たちも長年、同じ状況下にある。5万人以上の人々が、ティンダーがChange.orgで展開したオンライン署名運動に参加した。

 草の根運動であるエモジネイションの共同設立者、リー氏は、「ユニコードコンソーシアムは、様々な絵文字でさらに多くの肌の色を選択したいというユーザーの要求の高まりを、非常に真剣に受け止めている。肌の色、性別の組み合わせのバリエーション、ヒジャブ、さらにヘアスタイルの選択肢を追加することは、世界中のユーザーが絵文字キーボード上で自分自身に一番合う表現を見つけられるようにしたいという要求に基づいている。カップルや家族の絵文字の種類を増やすことは、その一環だ」と語る。

 顔の特徴や髪の質感をどう絵文字に盛り込むかについては、一部のベンダーではいまなお検討中であるものの、ティンダーによると、既存の6種類の肌の色については既に適用可能となっており、その他のさまざまなバリエーションの適用も、文章を書いたりチャットしたりする時に、世界中の人々が自身を表す絵文字をすぐに使えるようになっており、適切な方向へ踏み出しているという。カップルの絵文字に肌の色の選択が無いことは、軽微なことに感じられたと同社は語る。

 キャンベル氏は、「我々の社会的な行動が進化し、人種の違いを超えたデートや結婚がさらに一般的になったとしても、そういった関係を視覚的に表現するテクノロジーは、はるかに後れをとっている」と話す。

 有色人種が1人描かれている絵文字や、同性のカップルを描いた絵文字が過去数年にわたり追加された。しかし、それぞれ肌の色の組み合わせが異なるカップルの絵文字は、これまで追加されたことがなかった。実社会では、異なる人種間での結婚の割合は年々増加している。特に、1967年のラヴィング対ヴァージニア州裁判において、アメリカ合衆国最高裁判所が16の州に残っていた異人種間結婚を禁じる法律をすべて無効とする判決を下して以来、異人種間での結婚の増加は著しい。しかし、そのような結婚は、全体的な婚姻の中のごく一部に過ぎない。

 ティンダーは、オンラインで出会ったカップルが、そうでないカップルよりも互いの人種が違う可能性が高いことをデータで示している。このデータによって、異人種間のデートを推進してきた実績を明らかにし、業界の信用を得ている。

 キャンベル氏は、「当社は、誰にとっても平等な形式で自分自身を表現できることが、ユーザーにとっても、そして、当社自身にとっても重要であることを認識している」と述べている。

 2015年には、絵文字用のユニコード標準に対し、用途を限定した肌の色が追加された。そして、2016年には、女性を表すより多くの種類の絵文字が増え、2017年には「性差別のない」人物の絵文字が追加され、昨年は髪の色の選択肢が増えた。
 
 さらに今年、ワッフル、要望の多かった白いハート、盲導犬、車椅子に乗った人、そして、ナマケモノの絵文字も承認されている。

Translated by ka28310 via Conyac
By LEANNE ITALIE, Associated Press

Text by AP