日本だけではなかった、世界で問題になる「ひきこもり」
◆日本だけではない、世界で同様のケースが
これまで「ひきこもり」は日本特有のものとされ、特定の文化に関連した症状とされてきた。しかし、いまや国境を越えた問題となっている。BBCによれば、韓国では2005年に思春期にある3万3000人がひきこもりとされ、香港では、2014年の調査で、「ひきこもり」にあたる若者は人口の1.9%だった。
朝鮮日報によれば、韓国では、15~29歳の無職の若者で、「ただ家にいる」と答えた若者は、2018年には29万人にも上り、無職の若者の19.5%を占めている。韓国の場合は、就職難も影響しているようだ。仕事を探すのがますます難しくなれば、若者は自信を失い、他者との関係を絶ち、社会的に孤立してしまうと専門家は指摘している。
アメリカの「ひきこもり」を研究するアラン・テオ氏は、アメリカでは学校にも行かず、仕事もなく、訓練も受けていない、いわゆるニートが「ひきこもり」となっており、多くの場合、若い男性だという。ちなみに、ピュー研究所の2015年の研究では、アメリカのニート人口は1000万人とされているが、「ひきこもり」の数は把握されていない(NYMAG)。さらに、インドやスペインでも「ひきこもり」に当てはまる人々は確認されている。海外では多くの場合、データの収集が始まったばかりであるため、今見つかっているケースも氷山の一角かもしれないということだ。
◆ネットの影響か? 若者に多い傾向
「ひきこもり」の原因として考えられる一つは、インターネット、ソーシャルメディア、テレビゲームなどのテクノロジーだ。複数の研究でも、「ひきこもり」とテクノロジーの使用の関連性が認められており、「ひきこもり」のなかにはネット中毒者が多いという研究結果もある。また、若い「ひきこもり」のネット依存が高いという結果もある(BBC)。
前出の加藤氏は、テクノロジーの影響は気づかないうちに及ぶものであるかもしれないと述べる。コンピューターゲームは子供の遊び方を変え、子供たちは予測できないリアルな世界よりも、バーチャルな環境をコントロールすることにより多くの時間を使うようになる。ネットやスマホ、SNSによる顔の見えないコミュニケーションも普通になった。こういったことは子供たちの発達には有害で、人間関係の構築がうまくできなくなるとBBCに話している。
とはいえ、BBCはテクノロジーが世界共通の原因とはまだ言えず、「ひきこもり」との関係はいまだ明らかではないとしている。いまや世界の問題となったひきこもり。新たな原因や理由が、今後世界の研究者によって解明されることを期待したい。
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