いまだ少ない女性CEO、平均報酬額は男性を上回る
大手公開会社で女性がCEOを務めるというのはまだ稀だが、女性幹部の報酬額は、男性幹部のそれと並ぶ。
S&P500社のCEO高額報酬ランキングに選出された女性CEOは、ほんの5%程度に過ぎない。しかし企業幹部の報酬に関するデータを収集している企業、エクイラーからAP通信が入手したデータ解析結果によると、CEOの2017年度平均報酬額は、男性CEOが1,150万ドル(約12億円)であったのに対し、女性CEOは1,350万ドル(約14億円)だった。
CEO高額報酬ランキングの女性1位となったのは、ペプシコCEOのインドラ・ヌーイ氏で、報酬額は2,590万ドル(約28億円)だった。不動産投資信託ベンタスCEOのデブラ・カファロ氏が2,350万ドル(約25億円)で2位となった。そしてゼネラルモーターズCEOのマリー・バラ氏が2,190万ドル(約24億円)で3位に続いた。
女性CEOの平均報酬額は、前年から15.4%増加した。これに対し、男性CEOの平均報酬額増加率は8.2%にとどまった。しかし女性CEOの中ではトップの報酬額を記録したノーイ氏であっても、総合順位ではトップ10にさえ入っていない。18位に終わっている。
エクイラーのデータ解析は、S&P500社で丸2年以上CEOを務め、1月1日から4月30日の間に委任勧誘状を提出した339人のCEOを対象とし、その報酬額の推移を調べたものだ。オラクルなど一部企業は、CEOの報酬は高額であるものの、上記の条件を満たしていない。
調査対象となった企業における女性CEOは、17人しかいない。S&P500社全体における女性CEOの人数は、2017年末の時点で27人と、前年同期の24人から増加した。
企業幹部調査会社クリスト・コルダー・アソシエーションの、ジョシュ・クリスト代表取締役は、「ベテラン女性社員が昇進できないというのは、とても悲しいことだと思う」と言う。
最近はキャンベル・スープとマーテルで女性CEOが辞任し、男性CEOに交代したこともあり、女性社員を取り巻く状況への関心度が高まっている。
ピュー研究所は、調査対象をS&P1500社まで広げ、公開会社の幹部職について調査を実施しており、その結果、女性の割合はほんの10%であることが判明した。またS&P1500社で働く女性は、多くが財務または法務部門に配属されているが、これらの部門はCEOの地位まで昇進できる可能性が低いという調査結果も出ている。
しかし喜ばしい調査結果も報告されている。労働力の多様性の推進に向け企業をサポートする非営利団体、カタリストによると、女性が取締役に就任する事例が増えつつある。女性取締役が増えれば、幹部職まで昇進できる女性も次第に増えていくだろう。
クリスト氏によると、企業は性別、民族共に多様性に富んだ人材を、幹部職に登用しようと動いている。しかし組織全体が変わらないことには、幹部として多種多様な能力者を揃えることができないため、実現には時間がかかる。
ピュー研究所のドリュー・シルバー研究員によると、企業の規模が大きければ、行動を起こすまでに時間がかかるというのが問題のひとつとして挙げられる。現在CEOとして活躍する女性は、20年または30年のキャリアがある。この年代の女性がCEOに昇進したということは、1980年代の社風が反映されるということだ。企業が真に変化を遂げるまでには、何年もの歳月がかかるのではと、シルバー氏は危惧する。
カタリストで顧問サービス担当上級副社長を務めるブランド・ステリングス氏は、これに異論を唱える。同氏によると、企業は変化に向けた意思決定を下せば、すぐさま行動を起こしてきた。
ステリングス氏は、「企業は時代や時間と共に変わるのではなく、幹部や組織の意欲で変わる」と言う。「多様性に富んだビジネスを始めようと、言うだけでは何も始まらない。その方法を検討しなければ意味がない」
By SARAH SKIDMORE SELL, AP Business Writer
Translated by t.sato via Conyac