「14歳で性行為の同意できない」ツイッターで「#MeAt14」がトレンドに

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 米アラバマ州上院補欠選挙の共和党候補であるロイ・ムーア元同州最高裁判事(70)に、未成年の少女にわいせつな行為をした疑惑がかかっている。その中で起きた「#MeAt14」キャンペーンについてみていきたい。
  
◆疑惑のあらまし
 選挙を控えたムーア氏にかけられた疑惑は、当時32歳だった1979年、14歳の少女にアルコールを飲ませて体に触れたというものである。他にも3人の女性が、自身が16歳から18歳の間に、ムーア氏から性的に迫られたと主張している(ハフィントンポスト)。

 ほとんどの共和党の上院議員はすぐにムーア氏から距離を置いたが、アラバマ州の多くの共和党当局者は彼を擁護した。共和党員であるアラバマ州マリオン郡の議長は、彼女らの主張を退け、14歳は性的な関係に同意し得るとほのめかした。

 ムーア氏は、この疑惑を痛ましい、選挙を台無しにするために企てられたものと答えた。「私は有罪でない。私は若い女性の保護には高い関心をもっている。未成年にアルコールを提供していない」と否定している。

◆ハッシュタグ「#MeAt14」
 BBCによると、このソーシャルメディアの動きは、ムーア氏の疑惑に対して発生した。

 ノースカロライナ州の弁護士キャサリン・R・L・ローソン氏が今月10日、自身の14歳のときの写真を「#MeAt14」のハッシュタグと共にツイートした。


「14歳で同意なんてできっこない。アラバマだけでなく、世界のどこにあっても」

 これを皮切りに、Twitterのユーザーは、 14歳がいかに性行為の同意には若すぎるかということを示す自身の写真を投稿するムーブメントが起きた。このハッシュタグは、数日の間に5万件以上使用された。

 ローソン氏はBBCの取材に対し、「私はこの件について、10代の少女が成人男性との関係に同意することは無理だということを表したくて、自分の14歳のときの写真をシェアした」「性的同意の法的年齢が問題なのではなく、子どもたちが私たちの保護に値するという共通の社会的価値を確認することが重要」と語った。米国では州ごとに法定年齢が異なり、16歳から18歳までとなっている。

 アメリカの人気コメディ番組「デイリーショー」の共同制作者であるリズ・ウィンステッド氏が「これが14歳のときの私。体操チームに所属していて、合唱団で歌っていたの。14歳だったあなたはどんなだった?」と呼び掛けると、このハッシュタグの勢いが加速した。

◆貞潔さのアピールに使われたキャンペーン
 一方、この「#MeAt14」キャンペーンが深刻な問題になっているとワシントン・ポスト紙が指摘する。「姉妹的な士気を高めよう」とみせかけて、自身の貞潔さや純粋さをアピールする場になっているとする。

 ライターのミッキ・ケンダル氏は、キャンペーンは「その年齢で性的虐待を受けたことのある少女の声を吹き飛ばしてしまう」と懸念している。自分が14歳の時にいかにピュアであったかを示すことが性犯罪から守らない。むしろ、性行為をしていないことを称賛することは、性的暴行の被害に遭って処女でなくなってしまった者を傷つけるとしている。「#MeAt14」のハッシュタグと一緒に投稿されたツイートには、「私は32歳の男性と付き合っていなかった」「私は年上の男性に興味がなかった」などのキャプションがついている。この「私は」こそが、問題の責任を被害者に負わせているのだ。

 14歳までに既にセクシャルハラスメントや性的暴行を受けた女性たちはこのキャンペーンの期待に反し実際に存在する。彼女たちの投稿が、子供らしさがあれば性犯罪から無縁になるわけではないという真実を語っている。歯列矯正中、ブラスバンドの練習に夢中、ポニーの写真本が大好き、といった子供の要素が性犯罪から守ってくれるわけではない。

Text by 鳴海汐