「肉がない」病院の食事への不平をネットに書いて逮捕 警察の横暴に批判殺到 中国

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著:Oiwan Lam(Global Voices Regional Editor for Northeast Asia)

 湖北省地方のある男が、邯鄲市渉県にある病院の食事について否定的なコメントを投稿した後で、「秩序を乱した」罪で逮捕され、拘束された。

 地元メディアの報道によると、渉県警察はネットで病院食堂の食事の値段、量、質について悪口を書いていて、病院の評判を落としている誰かがいると苦情を受け取った。

 調査の上、Zhang(以下、張氏と呼ぶ)という男が情報を捏造し、秩序を乱していると警察は結論を出した。

 警察は8月16日に張容疑者を逮捕し、警察署の行政拘禁に拘留した。

 そのニュースはすぐにネット上で炎上し、ネット市民の強い憤りを引き起こした。国営メディアさえ、警察の行動を批判している。国民の圧力を受けて、渉県警察は張容疑者を釈放し、自分たちの法の解釈が間違っていたと認めた。警察署長は別のポストに移動させられた。

 この事件は、その逮捕のばかげた性質と警察による権力の乱用を強調するために、中国のネット市民によって「Food Pickygate(挑食門)」と呼ばれるようになった。

 張氏は以下のように、渉県のフォーラムに投稿した:

 新しい病院に移転してきた。場所は遠く、不便だ。しかし、施設は改良されている。だから、遠いことは仕方がない。新しい病院の近くには、街の物売りは全くいないので、病院の食堂が唯一の選択肢だ。そこは上品そうだが、値段はびっくりするほど高い。麺一杯が14元もする!

 ああ、まったく。私は地方の農民で、旅行者じゃないのだ。しぶしぶ私は昼定食に10元支払った。箱を開けると、数切れのウリとニラがあるだけだった。確かに、ジャガイモは沢山あったが、一体肉はどこにあるのだ?

 肉はどこにある?その定食には、野菜1種類と肉2種類があるはずなのに。米はほんの3口分あるだけ。私はフードカウンターで尋ねてみた。すると彼らが言うには、「野菜と肉は大鍋の調理なので、これが普通です。肉片が見えませんか?もっとお米が要るのなら、追加料金を払ってください。」私は農夫だが、街での経験もある。――この小さいのを肉と呼んでいいものか?

 病院の移転は、何もかもを新しいレベルに押し上げていた。看護の質は向上したかもしれない。だが、渉県の消費レベルもまた上昇していた。昔は十分な食事が7元から8元で買えた。今じゃ20元出してもお腹いっぱいにはならない。0.5元のお粥と1元の饅頭はどこへ行ってしまったのか?4元の麺と、5元の大盛の麺、4種類のおかずがついた定食6元は?みんな消えてしまったのか?良心も?

 もし警察が張氏の拘留を、渉県のテレビ局の公式Weiboアカウントを通じて噂を取り締まるキャンペーンの見世物にしていなければ、大衆はそんな地方の話に気づかなかっただろう:

 100日間のキャンペーンで、渉県はより平和になるでしょう。渉県警察は郡の第13党委員会第2回会合の精神を日常業務でも実施しています。統一した考えと、よく計画された迅速な行動で、ネットでの事実捏造と秩序を乱した2つの事件を厳しく取り締まることに成功しました。

 100日間キャンペーンのことは、8月16日に発表された郡の党委員会報告書に記載されている。その日は、警察が2件のネットの噂の件で行動した日だ。1件目は、タクシー運転手の死について誤った情報をネットで広めたことに関係している。2件目が、張氏のこの件だ。

 あるネット市民が独自に行った調査によると、張氏は6月にコメントを書いて、投稿した。

 その病院はコメントに対応し、地方のメディアもそのニュースを追いかけていた。その話はそこで終わるべきだったのだ。しかし、党委員会の精神に追従し、渉県警察はその一件を、噂を広めるという犯罪行為に変えてしまった。

 しかしこれによってネット市民がソーシャルメディアで警告を発することは阻止されなかった。以下はWeiboのニューススレッドの一つに載せられたコメントの一部抜粋である:

[監房での会話]
(質問)兄弟、何をしてここへ来た?
(答え&質問)病院の食堂のご飯を批判したせいで。兄弟は何をした?
(答え)エレベーターで強姦しようとしたからだよ。
(質問)うわ、刑は相当重いだろ?
(答え)お前と一緒だよ。拘留15日さ。

 我々の社会で何が起こっているのだ? Taobaoの店への批判的なコメントを全部逮捕してくれ。私の商売の邪魔になる。

 恐ろしいことだ。私はソーシャルメディアの食べ物に関するコメントを全部削除したよ。

 その出来事は、病院と男に関係があるだけだ。警察はそこに何の役割もない。もしその男が噂を広めて、病院に害を与えていると病院側が信じるなら、告訴して、名誉棄損で訴えるべきだ。どの法律が警察にその男を逮捕させる権限を与えているのだろうか?法執行機関は、法律の知識がなく、法に違反している。これは明らかに民事訴訟である。――公安や刑事事件になるはずがないのに。

 実際には「food pickygate(挑食門)」はひとつの事件にとどまるものではない 。噂の規制は、2013年に実施されたものだが、中国警察に国営機関や政府、当局を批判するネット市民を逮捕できる過度の権力を与えるものだ。

 最近では、ツイッターユーザーのZhao Shilong氏が指摘したように、警察の職権乱用を背景とした出来事が数多くある:

 渉県病院食堂の食事の批判者、山西省普中郡での地滑りにおける犠牲者を明らかにしたネット市民、寄付を強制されることに疑問をもった陝西省の教師の逮捕――これらすべての事件は、共通の問題を浮き彫りにする。すなわち、政府官僚の利益を守るための行き過ぎた警察の職権乱用である。もし国民が最初の二つの事件に気づいていなかったら、結果は取り消されていなかっただろう。陝西省の教師の事件は、嫌疑が晴らされてはいない、、、法の歪み、市民の言論や表現に対する権利の侵害、権力の濫用者を罰する仕組みの欠如が、懸念される問題である。

This article was originally published on Global Voices. Read the original article.

Translated by Conyac

Text by Global Voices