高校時代の交友関係は広さよりも深さが重要 その後の精神衛生に影響 研究結果

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 高校時代、誰からも愛されるクラスの人気者をよそに、友達の少なさに引け目を感じた人は多いかもしれない。だが、必ずしもがっかりする必要はなかったようだ。最新の研究によると、広く浅い交友関係よりも、親しい少数の友人を持つことが人生を豊かにする秘訣だと分かってきた。

◆質の高い友情が人生を幸せにする
 ABCニュースによると、この調査は米バージニア大学の研究者らにより、10年という年月を費やして実施された。15歳の生徒たちに交友関係について聞き取り調査を行い、その後彼らが25歳になるまで友人関係や精神面でのストレスなどを継続的に分析した。結果、15歳の時に親友と深い友情を築いていた集団の方が、25歳の時点でも周囲からのストレスに対処しやすいなど、精神衛生面で優れた特徴を見せたという。

 この研究はUPI通信社でも取り上げられている。15歳の時点で親友との関係構築を重視した生徒たちは、25歳になっても社会不安の傾向が少なく、自己評価が高いほか、うつ病の症状も見られにくかったということだ。研究者は、親友と深い友情を育むことは10代で最も大切なことの一つだとコメントしている。

 ニュースサイト『クォーツ』では、関係構築は「スキル」のように高めることができるとしている。親友との友情を重視することで、こうしたスキルが身に付いてゆく。結果、やがて迎える青年期にも恋人との信頼関係を築きやすいなど、人生の質に寄与するようだ。

◆一方、思春期の人気者には将来的なリスクも?
 UPI通信では、いわゆるクラスの人気者だった生徒たちについての傾向も伝えている。同じ調査によると、こうした集団は、残念ながらその後の青年期に社交不安障害に陥りやすい傾向が見られたとのことだ。研究者らは、幅広い生徒の間で人気者になっても、いざという時に助けてくれるような真の友情には結びつかないためと見ている。

 別な要因として、クォーツでは、交友関係には2つのタイプがあるという過去の別の調査結果に注目する。真の友人として接してくるタイプと、ステータスなど短期的なメリットを期待して近づいてくるタイプがおり、後者の友人を多く持っても長期的な利益にならないようだ。例えば飲酒やセックスなどで話題の中心になっていた生徒は、25歳になる頃にはこうした行為が珍しくなくなるため、友人が離れていってしまう可能性があるという。

◆人気と親友の両立も不可能ではない
 ただし、人気者になることが一概に悪いというわけではない。科学系サイト『ユーレカ・アラート』では、同調査の結論の一部として、友情の質の高さと人気度の相関が低かったことを挙げている。つまり、人気を集めることと親友を持つことは互いに独立した才能であり、両方を身につける可能性も残されている。

 また、UPIでは、15歳の時の友情とその後の精神状態には相関関係が証明されたが、因果関係が明らかになっていないことに注意を促している。「親友を持ったから精神が安定した」のか、それとも「元々精神が安定した生徒が親友を持ちやすい」のか、厳密には因果関係が不確定ではある。

 このように追加調査の余地はあるものの、研究自体は興味深い。思春期に親友と過ごした日々が、10年後にも人生の支えとなっているという分析には勇気づけられる。UPIは研究者のコメントを引用し、SNSで人気者になれる現代だが、親しい人々との関わりを重視してはどうかと呼びかける。中高生時代を過ぎても、研究から学べる点はあるようだ。

Text by 青葉やまと