北朝鮮の実態:薄れる指導者崇拝、強まるマネー信仰 世代間で広がる溝
【平壌・AP通信】 微笑む二人の独裁者の肖像の下、ひとりの女性が踊っている。「我らが指導者に命を捧げよ!」と訴える曲に合わせて激しく体を動かすのは、現代風の若い女性だ。
「偉大な指導者の革命」「労働者たちは金正恩将軍を信頼し、崇拝しています」……彼女の話す言葉からは、北朝鮮の支配者一家への忠誠心が溢れ出る。まるで政府機関紙からランダムに切り抜いてきたかのように。一糸乱れぬ集団ダンスで忠誠心を示す数百名の学生たちを背景に、彼女はただ一点のみを強調する。北朝鮮には世代間のギャップなど存在しない、と。
「若者の精神は今も昔も変わりません」とリュウ・ヘギョン氏は言う。
しかし、よくよく注意して見ると、彼女の言葉に反して、すべての街路を埋める宣伝ポスターに反して、支配者一家への賛美を奏でるラジオに反して――言葉で語られぬ現実は、それよりはるかに複雑だ。
念入りに髪を整えた19歳の大学生、リュウ氏。握手をかわす彼女の手は、自信に満ちていた。彼女の住む都市には、いま、変化の波が押し寄せている。国民の多数が貧困にあえぐこの警察国家にあって、現在平壌には、運転手付きのメルセデスに乗る富裕層が存在する。ここには今、使い捨てオムツを売るスーパーマーケットがある。かつては誰もがくすんだ茶色の人民服を着て歩いていた歩道を、短かめのスカートを身に着けた若い女性や、野球帽を斜めにかぶったKポップスタイルの十代少年が歩いている。
孤立を深めるこの国で、いま、世代間の溝が静かに広がっている。
すべてを与えてくれる全能の支配者が長い間崇拝されてきたこの国で、若い世代は政権に対して何の期待もかけずに大人に成長した。仕事の夢からデートの習慣に至るまで、彼らの生活は興隆する市場経済と密かに賑わう地下ビジネスとともに、密かに外から流入する違法テレビや違法音楽の中で形作られた。政治への熱意は、別のものによって脇に押しやられた。新たに中心を占めるのは、マネーの力への苛烈なまでの信仰だ。
我々は、学者、元政府関係者、活動家と合わせ、20名を超える北朝鮮難民と対話した。そこで見えてきたのは、この国の政府が数十年来すべての国民生活の中心に据えてきた強力なイデオロギーから、若者たちが次第に距離をとるようになっているという事実だ。
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