「食器用スポンジは毎週交換して」家庭での消毒は効果なし 研究結果
キッチンスポンジを定期的に消毒したつもりでいても、何もしないものに比べて菌が減っていなかったという研究結果が英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。耐性菌が生き残り、あっという間に他の菌が占めていたところに再度コロニーをつくり元の数に戻ってしまうという。
研究者は、2012年にドイツの家庭から集めた14のスポンジと2017年に地元のお店で購入した7つのスポンジで検証を行った。使用済みのスポンジは、電子レンジで加熱、熱い石鹸水ですすぐ、といった方法などで消毒されていた。これらには知られていた以上に多様な細菌が含まれており、スポンジを消毒することでかえって汚くなっていた。消毒が効果的でないばかりか、人間の病気に関連するリスクグループ2の細菌を持ってしまう。その対策として、研究者は毎週スポンジを交換することをすすめている。
◆キッチンスポンジは人間の便と同じくらい汚い
ニューヨーク・タイムズ紙は、細菌はどこにでもいるものとしながらも、スポンジから362種の細菌が検出されたことに言及している。さらに、たった1インチ(2.54cm)四方に820億もの細菌が存在していたことに研究チームが驚いたことを伝えている。このドイツ・フルトヴァンゲン大学の微生物学者が、その密度は人間の便サンプルと同じくらい高く、それ以上の場所は地球上に存在しないと述べる。
そこから検出された菌のひとつは、普段皮膚に存在し、感染症を引き起こすものだが、スポンジ内にあるその菌のリスクは計れないとしている。この菌の殺菌は難しいため、スポンジは週に1度交換したほうがよいのだという。
古いスポンジは、粉末洗剤と漂白剤、高温のお湯で洗濯機にかけ、バスルームなど、衛生面でそれほど気にしなくてもいいところに使えば無駄にならないとしている。
◆細菌を気にしすぎる必要はない?
一方、フォーブス誌に記事を寄稿したジュディ・ストーン氏は、この件がニューヨーク・タイムズ紙で大々的に報じられているが、誰が無菌のスポンジを必要とするのか、重度の免疫不全でない限り気にする必要はないと主張する。私たちは無菌状態で生きてはおらず、菌はいたるところにあるものなのに、なぜスポンジにこだわるのかと述べている。
感染症を引き起こすという菌が有害だという証拠はなく、食中毒を引き起こすサルモネラ菌などが検出されなかったのだから騒ぐ必要はないとしている。
同氏は、無菌にする必要がないので、スポンジの殺菌は、電子レンジに2分かける、食洗器で熱湯洗浄と乾燥のコースを使う程度でよいと述べる。また、ミシガン州立大学が99.9%殺菌できるとする塩素系漂白剤につける方法を紹介している。