Facebookが新米ママの心を不安にさせる理由とは
◆自尊心が低下する時
我々の研究では、新米の両親がFacebookをどのように利用するか調査した。1年以内に第一子出産予定の共働き夫婦182組を追跡し、親になっていく過程を調査した。
生まれた子どもが満9カ月になった頃、我々は親になって間もない母親と父親のFacebookやその他のSNSサイトの利用状況を調べた。
我々は、父親にも母親にも同じように質問したが、すぐにわかったのは、母親のほうがSNSに費やしている時間も長ければ、子どもの写真を投稿するのも主に母親だということだ。そこで、我々は研究では母親のほうに焦点を当てることにした。
まずわかったことの1つに、ある特定の母親、具体的には母としてのアイデンティティを周囲に認めてもらうことにこだわり、完璧な親でいなくては、と考える人は、Facebookにも積極的にかかわっていたということだ。子供の写真を投稿した際、「いいね!」やコメントの数が予想と違った場合にあらわれる情緒反応も、彼女たちは他の人より強く感じる、と答えた。
それから、我々はFacebookを使用することと、子どもが生まれたばかりの親にうつ病の症状が出やすいこととの関連性を調べた。確かに、母親としてのアイデンティティを他人に認めてもらいたいと考え、子育てについて完璧主義の母親ほどより積極的なFacebook活動を通じて間接的に抑うつ症状が出やすくなることがわかった。さらに、Facebook活動が増えることで新米ママの育児ストレスも上昇していた。
◆必然的な「比べ合い」がストレスの元に
なぜFacebookを積極的に使う母親のほうがストレスや不安を感じやすいのか?
ある関連研究の中にその答えがあるかもしれない。ブリガムヤング大学のサラ・コイン氏は同僚と共に、721人の母親を対象に調査を行った。そのデータによると、SNSで他人と自分を比べがちな人ほど気分が落ち込み、親としての役割を重く感じ、自分をダメな親だと思っていたという。
著者らによると、人はSNS上では自分をより肯定的に描く傾向があるという。完璧な親でありたいと強く感じる母親には特に当てはまることだろう。
もしも他人の一見完璧な子育てや家族生活と自分を比較していたら、自分が劣っていると感じるのも無理はない。思い描いていたものと実体験がまったく違うという新米ママは特にそうだろう。自然分娩で産むと言われていたのに帝王切開になった人や、子どもが早産や発達障害だったならどうだろう。
このように、単にSNSに費やす時間が問題なのではない。母親がどのようにこれらのサイトに時間を費やし、他人と比較するかどうか、によって最終的には子育てや幸福な生活に悪影響を及ぼす可能性があるのだ。