長岡三重子さん(100)、水泳1500mで世界新記録【1時間15分台】 海外メディアも賞賛
4日、日本マスターズ水泳短水路大会(愛媛会場)において、100歳の長岡三重子さんが、女子1500m自由形、100~104歳の部に出場し、完泳した。このカテゴリーでは世界初の完泳となり、自動的に世界記録樹立となる。この快挙を、CNNやBBCなど、多くの海外メディアが称賛を交えて報じた。
◆年齢区分のあるマスターズ
マスターズ水泳の競技種目は、泳法や距離に加え、5歳刻みで年齢区分がなされている。また、コースの長水路(50m)、短水路(25m)の別によっても記録が分かれている。
BBCによると、長岡さんは、長水路では昨年、100~104歳の部で1500mを完泳している。共同通信によると、短水路は過去に2度挑戦したが、いずれも途中で棄権したという。ターンの回数が増えるため、より負担が大きいということだ。今回、三度目の正直での成功となった。タイムは1時間15分54秒39。国際水泳連盟(FINA)への申請を経て、正式に世界記録として認められる。それによって、長岡さんの持つ世界記録は、25種目になるという。
「寿命があれば105歳まで泳ぎたい」と長岡さんは語っている(共同通信)。105~109歳の部でも、世界記録を樹立することを期しているのかもしれない。
現在、女子1500m自由形で一般の(年齢無制限の)世界記録を保持しているのは、アメリカの18歳のケイティ・レデッキー選手で、そのタイムは15分28秒36だとAFPは伝える。
◆80歳で水泳を始め、84歳でマスターズにデビュー
AFPは、日本では高齢化が進むにつれ、より長くより健康的な生活を享受している高齢者が増えているが、長岡さんはその1人であるとして、長岡さんは80歳に達してからやっと水泳を始めた、と伝える。
FINAによると、長岡さんは、痛めた膝のリハビリのために、80歳で水泳を始めたという。とはいっても、始めは泳ぎ方を知らなかったそうだ。82歳のときに、独学で泳ぐ練習を始めたという。当時、能をやっており、能の舞台のために体調を維持するというのも、泳ぎを覚える動機だった、と記事は語る。
その後、84歳にして日本マスターズに初出場。2002年、88歳のときには、ニュージーランドで世界マスターズに初出場し、50m背泳ぎで銅メダルを獲得したという。2004年にはイタリアでの世界マスターズに出場し、さらに高成績を収めている。
◆フォーム改善など、挑戦を続ける100歳
さらに、90歳のとき、十八番の800メートル自由形で日本記録を出し、日本国内で全国的な注目を獲得した、とFINAの記事は伝える。その後、長岡さんは、パフォーマンスを向上させるために、コーチの下で個人レッスンを受け始めたという。その真剣な努力は、95歳のときから実を結ぶようになり、50m背泳ぎで自身初となるマスターズ世界記録を生み出した、と記事は語る。
CNNによると、長男の宏行さんは、「母があの年で、挑戦をし、目標を達成しているのは、すばらしいことです。母は今でも頭を使って、ベストの泳ぎ方を見つけようとしています。記録に挑戦するために、泳ぎのフォームを変えることさえ試しています。母は本当に誇りです」と語ったそうだ。
◆長寿の秘訣は?
英テレグラフ紙は、日本人の長寿の理由について論じている。それによると、専門家らは、日本の包括的な医療制度、地域のサポート、非常に高齢になるまで身体的に活動的であり続けるよう励ましていること、家族の一員であるという感覚、魚、米などの伝統的な食事のおかげだとしているという。
また、同紙は、長寿には精神的健康が関与している可能性も指摘する。長生きする人の特徴をより多く特定しようとかなりの数の学者が調査しており、強い意志を持ち、社交的で、好奇心の強い人は、平均よりも長生きする、ということが示唆されるというのだ。