“アイドル文化の負の側面” アマゾンジャパンの児童ポルノ問題受け、海外メディア報道
23日、愛知県警が児童売春・ポルノ禁止法違反の容疑でアマゾンジャパンの家宅捜索に入った。愛知県警は昨年から同法違反の容疑で業者の摘発を行ってきたが、その一連の流れの一つと言える。
アマゾン日本法人は「完全に」捜査に協力する、との声明を出している。海外メディアはこのアマゾンの声明と協力姿勢を取り上げ、さらに日本の児童ポルノの実態についてこの捜索を通して詳しく伝える。日本のアイドル文化との結びつきに言及し、法律ではグレーゾーンとなる「アイドル」産業について伝えている。
【巨大なアイドル産業】
アメリカのブルームバーグとイギリスのデイリー・テレグラフ紙(電子版)は、アイドル産業が日本経済の中で大きな存在感を示し、さらに年少の子供たちの露出の多い写真やDVDがその売り上げを支えていると伝える。
ブルームバーグは、2013年には6億1500万ドルに達するアイドル産業のうちの一部が、年端のいかない少女たちの写真集やDVDの売り上げである、と指摘。同様にデイリー・テレグラフ紙も、日本の『アイドル』産業は年少の子供の違法なイメージへの消費が大きな割合を占めている、と報じた。
【現行の法律の抜け穴】
昨年6月に、法律が改定され児童ポルノの所持が禁止となった。しかしこの法律には抜け穴がある、とする、子供の権利に関する活動家の意見をデイリー・テレグラフ紙が紹介。ECPAT Japanの共同代表である宮本潤子氏の意見を取り上げ、宮本氏の「日本の漫画・アニメ産業はすばらしい、しかし深刻な負の側面もある」、「すでに子供の虐待者に利用されており、これは国際社会の問題なのです」というコメントを伝えている。さらに、表現の自由を主張する出版社やアーティストの意見も取り上げ、日本での児童ポルノをめぐる一連の論争を紹介している。
ブルームバーグも、昨年の法律改定の「言い回しがいわゆるジュニアアイドル産業をグレーゾーンとした」とし、こちらも法律の抜け穴について言及している。
【児童ポルノを取り巻く状況の今後は?】
BBCでは、昨年からの愛知県警による同法違反容疑での摘発について言及している。このアマゾンジャパンへの捜索も、法律の改定を受けての警察の動きの一つと述べている。
ブルームバーグでは、「アマゾンジャパンの捜査は、この商品を運び続ける主流の小売業者を、警察が取り締まり始めていることを示しているのかもしれない」と結び、デイリー・テレグラフ紙では「児童ポルノとつながる日本の犯罪は、この10年で5倍になった」、「そして、運動家たちは、これは氷山の一角であると考えている」と結んでいる。
今回の捜査は、アマゾンジャパンが「完全に」捜査に協力するという見出しで複数の海外メディアに取り上げられた。いずれも、アマゾン日本法人の毅然とした声明を報じ、日本で取り締まりが強化されていることを伝えている。また、日本の法律のグレーゾーンとなる日本のアイドル文化と結びつけて伝えており、今後もこの事象が海外から注視されることが予想される。