“日本は移民受け入れ必要” 出生数過去最少、海外はどう報じたか
厚生労働省は12月31日、2014年の日本の人口統計を発表した。2014年に国内で生まれた赤ちゃんは統計の残る1899年以降最少の100万1000人、死亡数は戦後最多の126万9000人だった。人口は26万8000人減少した。
日本の人口の自然減は8年連続。この下降を食い止めることはできるのか。日本の将来を支えるには何が必要なのか。海外各紙がそれぞれの見方を報じている。
◆日本は”死の螺旋”に陥った
現在の出生率が改善されなければ、将来の労働力不足はより深刻になる、と海外各紙は報じている。フィナンシャル・タイムズ紙(FT紙)は、国立社会保障・人口問題研究所の人口予想を引用。このまま出生率1.4の状態が続けば、今現在1億2700万人の人口は、2060年までに3分の1減少し、2110年には現在の3分の1にまで減少する。もし、2030年までに、出生率が死亡率と同等の2.07%というレベルにまで急速に回復しそれを維持したとしても、その後の50年間で、1億人弱に安定するまで、人口は減少するだろう、と推測されている。
フォーブス誌は、この下り坂は厳しく残酷なものだ、と報じている。同誌は、数字をグラフで示し、1973年以降「一度も」人口を安定させる出生率を示した年はない、と指摘した。日本人女性は、数年前に比べ、平均するとわずかに多くの子供を生んでいるが、人口全体における女性の数があまりに少なく、増加の影響がほとんどみられない。これが、日本が「デス・スパイラル(死の螺旋)」に突入してしまったとみる理由だという。人口統計的数字は、とても長い間非常に悪い状態を示していて、その軌道を健全な方向に変えるのはほぼ不可能だ、と同誌はみている。
◆莫大な負債は返済可能か?
アベノミクスは日本の財政状況を改善した、とFT紙は評価している。企業は高い利益を確保し、また、2014年4月の消費税増税で、15年度の税収は22年ぶりに高水準になるとみられている。これにより、基礎的財政収支の赤字を半減させるという、政府目標は達成する見通し、と記事は伝えている。
今のところ、日本の経済は、特に国債市場は、人口減少の抑圧に直面しても、非常に活気がある。しかし、永遠には続くというわけにはいかない、とフォーブス誌は報じている。「どこかの時点で、紙幣を増刷する以外に解決策はない返済不能で危険な負債を国が抱えているのだと、誰もが認識しなければならないだろう」、「このままでは、経済的にしっかりとした生産性のある国民ということにはならない」、と同誌は警告している。
財務省は2020年までに財政を黒字化するとの目標を掲げている。しかし、このまま人口減少が進んでも達成可能なのだろうか。
◆移民政策を支持する海外メディア
退職者数は増加しているのに、それを支える労働人口は次第に減少している。この事実は、労働力の確保という政府が抱える問題の大きさを浮き彫りにしている、とFT紙は指摘する。
CNNは、人口減少が経済成長を厳しく押さえ込む恐れがある、と報じ、人口減少の要因として次の3つを挙げる。結婚をする人が減少。女性が働きながら子育てをすることを企業文化が妨げている。日本は移民に対して不寛容である。
政府は、出生率を上げるために、働く母親の育児休暇延長などを含む改革を模索している。目標では、出生率を現在の1.4%から、2.1%近くまで引き上げるとしているが、今のところ有効な策を打ち出せていない(CNN)。
また、移民の促進は、より明らかな解決策だが、日本の政治家は二の足を踏んでいる、とCNNは報じた。外国籍の人口は日本全体の2%に満たない。世論調査では、さらなる移民緩和策を支持する者もほとんどいない、と同メディアは報じている。FT紙は、みずほ証券の菊地正俊氏の、移民に対する厳しい規制を緩和することで、日本経済は少し息をつくことはできるだろう、との見解を紹介している。しかし、安倍首相は、移民に対し「大きく扉を開くことには断固として反対」であると明確にしている、と述べた(FT紙)。
一方CNNは、安倍首相が選択的移民政策の拡大を支持しているが、さらなる政策実行への賛同を得られず、微妙な立場に置かれている、と報じている。