「照明明るい」クラブのみ、深夜営業OKに “奇妙な”日本の規制、海外メディア疑問
安倍内閣は24日、ダンス営業の規制を緩和する風俗営業法(風営法)の改正案を閣議決定した。新法案は、年内には国会で承認される見通しだ。
現行法では、ダンスや飲食を客に提供する形態のクラブを風俗営業とみなし、営業時間を原則午前0時までに制限している。改正案では、店内の明るさ(照度)などを基準に、別途定める条件を満たせば24時間営業も可能になる。
1948年に施行された風営法では、ダンスホールが売買春の温床になっているとして、規制されていた。2010年以降、風営法に基づきクラブの摘発が相次ぎ、法改正を求める署名運動が全国で起きた。警察庁の有識者会議での検討から、今回の閣議決定につながった。
◆明るいクラブだけ24時間営業許可か
改正案では、店内の明るさが照度10ルクス超であれば、24時間営業が認められる方針だ。これは、上映前の映画館内の明るさとほぼ同じだ。
防犯のため警察がフロアを見通せるように、という理由で照明の明るさを決められては、実際の営業時間は短いままだろう、とエコノミスト誌は法改正の効果を疑問視している。
テレグラフ紙は、もし法改正されても、外国人旅行者は自国のようにクラブで遊べると期待してはいけない、と忠告している。
またロイターは、警察が、ドラッグ、暴力団の事件などを捜査する口実に現行法をしばしば利用してきたことから、法改正後もナイトクラブへの警察の干渉は止むことはないだろう、と報じている。
◆東京五輪控え、日本をアピール
エコノミスト誌は、日本が深夜のクラブでのダンスを規制していることを、「とても奇妙」と評している。規制をかいくぐるため、「テクノに合わせてうどんを踏む」イベントが開催されていることも紹介している。
同誌は今回の法改正について、あくまで象徴としての変化とみて、経済への影響はほとんどないだろう、と報じている。
「クール・ジャパン」を促進する安倍首相にしては、不可思議なタイミングの改正だ、と疑問も呈されている。とはいえ海外各紙とも、2020年の東京オリンピックに訪れる外国人旅行者のお祭りムードを盛り上げようとしているのだろう、とみている。
ダンス文化推進議員連盟会長の小坂憲次参議院議員(自民党)は、「海外からの旅行者は、外国ではどこでも夜に踊ることが出来るのに、なぜ日本ではだめなのか、と疑問に思うことだろう」(テレグラフ紙)と外からの目を意識した発言をしている。
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