観光立国目指す日本、課題は英語、タバコ、Wi-Fi? 海外メディアは改善に期待

 木曜日にロンドンで開催されたシンポジウムで、日本は2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに2千万人の海外観光客を呼び込む目標を明らかにした。

 『Travel Weekly』によると、日本への海外観光客は2003年の500万人から2013年には1千万人までに増加している。一方で2013年の統計では、海外観光客の75%がアジア地域からの旅行者と、西洋からの観光客は極端に少ない(『ディプロマット』)。海外メディアは東京オリンピックが観光産業のさらなる発展の好機となるとした上で、課題を論じている。

◆多様な言語、文化圏のニーズに応えられる環境作り
 『ディプロマット』は、オリンピックを長期的な利益とするのは困難で、開催国となっても経済的に報われる可能性は低いと指摘する。国際オリンピック委員会(IOC)も認める2000年オーストラリアのシドニーオリンピックの成功例に倣うためには、観光サービスの充実を図り、海外観光客のニーズに応える環境作りが必要不可欠だ。

 日本は自国の文化的アイデンティティーを優先し、異文化を受け入れないと評する声もある、と『ディプロマット』は報じる。海外観光客を増やすためには、国民の異文化への意識を高め、コミュニケーション教育を進めることが重要になってくる。

◆改善すべき具体的な課題
 ハフィントンポストは、日本が解決するべき課題として、スマートフォンを使えない海外旅行者のためのWi-Fi設備の充実、飲食店内に喫煙エリアがあることに慣れていない旅行者のための喫煙ルールの徹底などを挙げている。

 また日本では、会話力より読み書きに重点を置く英語教育によって、隣国のソウルや香港に比べて英語力が劣っているという。『ディプロマット』でも、英語コミュニケーション力の不足が障害になっていることを指摘している。特に公共の交通機関における英語を話すスタッフや、英語表示の不足。レストランではメニューに英語があっても説明が欠けているなどの点を上げた。

 都内の交通機関は評価が高いものの、路線ごとに毎回乗車券を買わなければならない点、観光客向けの割引サービスがないなどの短所を挙げている。また賑やかな東京の夜を楽しみたい観光客には、交通機関の終了時間が早過ぎる、とも指摘する。

 ハフィントンポストによると、都庁は現在、バスの24時間運行を試行中、Wi-Fi環境の改善、観光ボランティアの増員、他国語の標識の設備、多様な文化を受け入れる環境作りを進めているとコメントしている。

◆海外は成功へ期待
 2012年、大臣としてロンドンオリンピックを担当したヒュー・ロバートソン大臣は、東京オリンピック成功への確信を表明し、オリンピックの結果として目指す目標を早期に明確にし、政府の戦略が包括的なマーケティングブランドを駆使して観光戦略に焦点を置くことを促した。「オリンピック競技を観光戦略の一環として利用するべき」とコメントしている(『Travel Weekly』)。

 現段階で東京はかつてのどの開催国より一歩先に出ている、とハフィントンポストは報じている。オリンピック開始までに課題を全て解決できたとしても不思議はない、との見解を示した。

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Text by NewSphere 編集部