“新幹線が、東京を怪物都市に変えた” 開業50周年、歴史的意義を海外報道
世界初の高速鉄道である新幹線は、10月1日、開業50周年を迎えた。
1964年10月1日、東京オリンピック開催1週間前、2台の東海道新幹線がそれぞれ東京と大阪に到着した。歴史的イベントを目撃するために、数百人が前日夜から集まっていたという。“新幹線”は文字通り、戦後の大規模な復興の中心となり、日本の飛躍的な発展の象徴でもあった。海外メディアは新幹線事業の今昔を報じている。
【時間の正確さと安全性】
新幹線の開業により、それまで6時間40分かかっていた東京-大阪間の移動が、4時間まで短縮された。今日では、さらに最短2時間25分にまで短縮されている。これまでの累計乗客数は約100億人。乗客の死亡事故はゼロで、安全性は世界一といえる。
海外紙は、正確性にも着目している。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、東京-大阪間の新幹線の遅延は平均36秒で、豪雨やその他の自然災害が原因だった。対照的に、全米鉄道旅客公社アムトラックは同社HPで、400kmを運行する列車は予定時刻10分以内の到着であれば“時間通り”、としているという。
【新幹線開通による国内の変化】
英ガーディアン紙は、新幹線がどのように東京を“怪物都市”に変えたかを報じる。
首都圏4都県、日本総人口の27%に当たる3500万人が暮らす、世界有数の巨大都市圏となっている。新幹線の開通などで地方から首都圏への人口集中が進んだ。一方、地方路線は衰退している。例えば信越本線は大部分が閉鎖され、地元住民は車やバスでの移動を余儀なくされているという。地元自治体は政府の資金と公共事業に依存しており、利益を求めて高速鉄道に執着する政府の姿勢に同調せざるを得ない(ガーディアン紙)。
さらなる移動時間の短縮を目指し、2027年までには、リニアモーターカーの東京-名古屋間の開業が予定されている。同紙は、ほとんどがトンネルの中で観光客にとっては魅力的でなく、目的が明確でない国家的なプロジェクトだと手厳しい。
【新幹線事業の拡大】
2015年3月には、名古屋-金沢間を結ぶ北陸新幹線、2016年には新青森と新函館北斗を結ぶ北海道新幹線の開通が予定されている。2022年、2025年にも新路線が開通される予定だ。
マレーシアのBernama通信によると、日本政府とJRグループ、その他関連企業は、新幹線技術の輸出など新幹線事業のさらなる拡大を目指している。
JR東日本の清野智取締役会長は、カリフォルニアでの高速鉄道経計画への参入意欲を見せた。また太田昭宏国土交通大臣は、中国が参入の意志を示しているインドにおける高速鉄道計画についても日本が請け負う自信を見せている。大臣は、日本の優れたトンネル建設技術などを指摘。日本の新幹線が高価という指摘に対して、「長期的に見れば、日本の技術が高価過ぎるということはない」、とコメントしている。JR東日本の海外事業責任者である高橋眞常務取締役は、いかに現地の要望に沿った提案をできるかが最優先事項であり、ノウハウと経験のある海外企業とも協力するべき、と指摘している(Bernama通信)。