“9月1日はイルカの日” 太地町の漁解禁 Twitterで抗議活動広がる 海外メディアも動向注視

 9月1日、和歌山県東牟婁郡の太地町で、イルカ追い込み漁が解禁となった。イルカ漁は、来年2月末まで行われる。シーズンの初日は、悪天候のため漁は中止となったが、世界中でイルカ追い込み漁に対する抗議活動が展開されたと海外メディアは伝えている。

【『ザ・コーヴ』により世界が注目】
 『ザ・コーヴ』は、2009年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画で、太地町のイルカ追い込み漁を描いている。ナショナルジオグラフィック協会に所属する写真家だったルイ・シホヨス氏が監督を務めたこの映画は、2009年度のアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した。

 しかし、この映画は、追い込み漁を残虐非道という観点から描いているだけでなく、制作方法でも、漁の隠し撮りややらせなど、多くの問題を残した作品であった。『ザ・コーブ』により、太地町のイルカ漁は世界が知ることとなり、批判が集中。環境保護団体シーシェパードや反捕鯨団体ザ・フラック・フィッシュなどから漁を妨害される事態となっている。

【イルカの日】
 イルカ漁に対する抗議行動が、ウェブサイトを通じて世界各国で行われたとインディペンデント紙は報じている。抗議者達は9月1日を「イルカの日」と呼び、抗議を表す幕やプラカードを掲げたり、パフォーマンスを繰り広げ、その様子をTwitterなどで伝えている。

 その中で非営利団体Save Japan Dolphinsは、「漁は漁師と、生きたイルカを買い取って見世物にする企業が富を得るためだけに存続している」とコメントしている。さらに「イルカ追い込み漁は1969年に始まったが、日本の他の町では追い込み漁をやめた。よって、イルカ追い込み漁に反対することは、食文化や伝統を否定することだとする太地町の主張は、意味をなさない」というコメントも発表し、全面的にイルカ追い込み漁を批判している。このコメントは、海外メディアで多く取り上げられている。

【日本政府の見解】
 今年1月にケネディー駐日大使が、イルカ追い込み漁について「残酷だ」という内容をツイッターに掲載したため、漁に対する批判が再び高まった。これに対し、日本政府は「イルカ漁は日本の伝統的な漁業の一つであり、法令に基づき適切に実施されている」として、漁を擁護する立場を示している。

 また、和歌山県のホームページでは、食用にした場合の水銀含有率や、残酷だとされる捕獲方法の改善などについて掲載しており、『ザ・コーブ』によって世界に広がった一方的なメッセージを払拭し、理解を得ようとする努力がみられる。

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Text by NewSphere 編集部