536万人がギャンブル依存症の疑い? “カジノ解禁議論に影響ない”と米紙紹介
厚生労働省研究班が行った調査によると、日本でギャンブル依存症の疑いのある人は、成人全体においては国民の4.8%にあたる536万人に達するという。男女別でみてみると、438万人(8.7%)、女性は98万人(1.8%)で、これは他国と比べても非常に高い数値である。
この調査結果を多くの海外メディアが報じている。
厚生労働省研究班が行った調査とは】
厚生労働省研究班は2013年の7月、無作為に選ばれた計4153年に面接調査を実施した。この研究の代表者は、樋口進・国立病院機構久里浜アルコール症センター院長であった。調査では対象者は「やめられないと分かっていてもギャンブルをやめたいと思ったことがある」「ギャンブルをしていることを配偶者などに隠したことがある」「罪悪感を感じたことがある」などの20の質問に答え、5つ以上の質問に当てはまれば、ギャンブル依存症として分類された。
【カジノ合法化に賛成の議員もいる】
調査結果を報じたウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本ではカジノ合法化に賛成の議員もおり、観光やコンベンションを促進する方法としてカジノを捉えている官僚もカジノ合法化を支持しているが、一方で、厚生労働省の中には、もっと慎重な態度を示す官僚もいると伝えている。
同紙は、カジノ合法化支持者の、問題のあるギャンブラーを締め出すために身分証明書の確認をするなどしてギャンブル依存を最小限にするという発言を取り上げる。また、カジノ研究者である木曽崇氏の、「僕がカジノが出来ても依存症は増えないと、ある意味強弁できてるのは、宝くじ15000、パチンコ11000、公営競技100施設と、我が国のギャンブルへのアクセシビリティは最大の所まで来ているってのが前提で、そこに当初2から4と言われるカジノを導入をしたって影響はないって話なんだよね」、というツイートを紹介している。
【なぜ日本にはギャンブル依存者が多いのか?】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙に紹介されているアメリカ国立医学図書館によれば、ギャンブル依存症の定義は「個人または社会的に困難な結果をもたらす可能性があるにもかかわらず、ギャンブルへの衝動を抑えることができない状態」である。
AFP通信は、日本でギャンブル依存症が増加している問題に関して、ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子氏の「ギャンブル依存症を防止するための、教育が絶対的に不足している」、「日本では、アメリカやヨーロッパでなされているといような、ギャンブル依存に関する公の場でのディスカッションを行うための、社会的資源が十分に配分されていない」との発言を報じている。
また同氏は、日本人は一般的に、家族にとって不名誉となるような事柄について暴露することを嫌がるため、ギャンブル依存症に関するオープンディスカッションは稀なのだと述べている。また、ギャンブルの経済的なメリットは認めているうえで、ギャンブルが持つ経済的及び社会的な、ネガティブなインパクトということに関しても議論すべきだと述べた。
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