日本人の睡眠時間は世界一少ない 昼寝推奨する政府・企業の取り組みに海外注目
日本人(東京)の睡眠時間は平均「5時間46分」。ウェアラブルデバイスメーカーのジョウボーン社が、同社製品「UP」のユーザ数十万人から日々どのように活動し、睡眠を取るのかを追跡した結果、日本人の睡眠時間は世界で最も短いことが分かった。
このデータによると、東京居住者の一日の平均睡眠時間が5時間46分と最も短く、次いで9分長いソウルが5時間55分、3位のドバイは6時間32分だった。一方、睡眠時間が最も長かったのがメルボルンで7時間5分と、東京よりも79分も長い睡眠をとっていることが分かった。
睡眠時間が最も少ない日本における、オフィスでの「公認仮眠」や、外出先の「お昼寝」スポットといった日本独特のサービスについて、海外メディアが報じている。
【1/3の日本人が睡眠不足? 政府も30分以内の昼寝を推奨】
アメリカ国立睡眠財団の調査によれば、54%の日本人だけしか十分な睡眠時間が得られておらず、たった8%の人だけが8時間の睡眠時間をなんとか確保しているという。残りの1/3以上の日本人は寝不足を感じているようだ。
同財団の調査では日本人の平均睡眠時間は6時間22分で、どの国よりも短いという。次いで27分長いイギリスが6時間49分。一方で、カナダ、メキシコ、ドイツは7時間以上の睡眠時間を確保しているという。
日本人の睡眠時間に関して、ジョウボーン社とアメリカ国立睡眠財団の調査結果に多少の差異が見られるものの、日本人の睡眠時間が短いということは明らかなようだ。政府も日本人の睡眠時間に懸念を示し「良い睡眠」を推奨している。今年3月に発表された厚生労働省健康局の「睡眠指針2014」によると、午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが作業能率の改善につながるとしている。
【「オフィス・シエスタ(昼寝)」を推奨する日本企業】
英ガーディアン紙は、「うとうとしている社員にお昼寝を推奨している日本企業」と見出しをつけ、日本企業のオフィス・シエスタ事情について紹介している。
大阪にあるインターネットコンサルティング企業は、13時から16時の間、好きな時間に30分間昼寝ができるという。
また、関東にあるリフォーム会社では、2012年から昼寝制度を導入。社員がスタッフラウンジや自身の机で20分の仮眠が取れると言う。
同社経理担当者の「眠いときに計算機を使うと、ミス防止のためにダブルチェックをしなければならず、余計に時間がかかります」、「昼寝することで作業効率が改善されました」との発言を、同紙は読売新聞の記事から引用している。
大阪のある企業では、近くにある厚生施設のベッドを利用できるようだ。
【外出中でも昼寝?お昼寝カフェが登場】
オフィス以外でも昼寝ができる「お昼寝カフェ」や「カプセルホテル」など体を休めるだけに特化した日本式サービスを、カーディアン紙とフォックス・ニュースは取り上げている。
東京・神保町にある女性限定のお昼寝カフェ「corne(コロネ)」は、昨年11月オープンし、働く女性や就活中の女子学生などにお昼寝サービスを提供している。アロマが香る睡眠スペースにベッド8台が並び、カーテンで仕切られている。利用料金は10分160円。100円でパジャマもレンタルできるようだ。一人当たりの平均滞在時間は1時間近くになるという。
また、最近成田空港の近くにできたカプセルホテル「ナインアワーズ」について、フォックス・ニュースは取り上げている。平均的なNBA選手にとっては十分な広さではないかもしれないが、寝るには十分の広さであると紹介している。料金は3900円からで、シャワーやラウンジも利用可能だという。利用料金が高いかもしれないが、早朝便や待ち時間で悩まされている人、長距離フライト前のリフレッシュ場として朗報であると同記事は伝えている。