日本初の全寮制インターナショナルスクール、海外も注目 脱内向き、開かれた社会の実現へ一歩

 少子化に伴う労働力不足によって、日本も海外の労働力市場に目を向け始めた。しかし、諸外国との競争に勝って優秀な人材を得るためには、日本の社会もグローバル化する必要がありそうだ。

【海外の人材獲得は困難?】
 フォーブス誌は、このトピックについて扱った過去の記事に対する読者からの反応をもとに、日本の現状を分析している。それによると、日本は「海外の人材が必要とするキャリアを提供する準備ができていない」ために、優秀な人材は「日本に行くことに熱心とは思えない」と手厳しい。

 問題点は、日本は「高齢化、外人嫌い、極端な国粋主義」によって外国人の永住を難しくしていると指摘される。仕事の面でも非常に保守的で、外国人のキャリア形成においては「ガラスの天井」が存在するという報告もあるという。

 また、いわゆる「失われた20年」の後に、状況はむしろ悪化し、若い世代は内向的になり、急速に変化する世界に適応しようとしない、とみられている。

 日本には「才能ある個人にキャリアを形成することを許す、社会経済的な条件と文化的思考様式」という正しい「レジーム」が欠落しており、米豪など優秀な人材を集める「開かれた社会」とは対照的で、人材獲得には不利だ、と同誌は結論付けている。

【日本の変化の鍵は「多様性」の教育にある】
 一方ブルームバーグは、日本初の全寮制インターナショナルスクールが、今月、軽井沢で開校することを報じている。同校の目的は、大量生産経済が念頭にある日本の教育を離れ、「幅広い文化的環境を提供する」ことだ。初年度の生徒50人は15ヶ国から集まり、日本人は18人だった。また、「経済的な多様性」を確保するため、奨学金が充実している。

 OECD調査によれば、日本の学生は、数学、科学、読解の能力は高く、世界ランキングでも上位に入る。一方、問題解決能力に対する信頼性は平均以下で、国際化した世界で活躍するための準備は十分ではないという。同校の後援者の一人は、「この国には、異なった意見を持ち、異なった背景を持つ人々と共に新しいことをするように人々を説得できるようなリーダー達が必要」だと述べ、教育における「多様性の力」を強調する。

 最終的には「日本を変えるよう生徒の準備を整える」ことが目標だ。生徒には「この国を開き、多様性を自らが学ぶだけではなく、他の人々にも異なった視点を受け入れるよう教えてほしい」と同校の共同代表の一人は述べている。

【日本政府も教育のグローバル化を促進】
 日本政府も教育のグローバル化を図っている。ブルームバーグによると、全国の56校を「スーパーグローバルハイスクール」と指定して「将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを育成」する狙いだ。また、国際的な大学入学資格「国際バカロレア」の認定校も200校を目標としている。

 また印エコノミック・タイムズは、日本政府はインドからの学生の受け入れに熱心で、両国間での更なる学術連携を促進していると報じている。日本での教育をコーディネートするプログラムの展開や大学間パートナーシップの育成、交換留学の促進等が計画されている。

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Text by NewSphere 編集部