朝日の慰安婦検証報道、“右翼への反撃”と韓国紙 国内紙は遅すぎる“誤報撤回”を批判

 朝日新聞が5・6日付の紙面で慰安婦問題を特集した。

 同紙は5日付1面で「読者への説明責任を果たすことが、未来に向けた新たな議論を始める一歩となると考えた」としている。

【慰安婦問題の発端となった朝日の記事】
 朝日新聞は1982年9月、「済州島で200人の若い朝鮮人女性を狩り出した」という吉田清治氏(元下関労報動員部長、2000年死去)の証言に基づいた記事を掲載。その後も約16回記事にしたが、「当時、虚偽の証言を見抜けなかった」として今回撤回した。

 同紙はまた、「慰安婦」と日本の軍需工場で働いた「挺身隊」を混同したことも反省した。

 一方で日本軍の占領下にあった地域では慰安婦の強制連行を示す資料が確認されていることも強調した。

 韓国の中央日報は、朝日は過去の一部記事の誤りについては率直に認めたが、日本国内の保守勢力の「責任否定論」への警告だと報じた。

【保守的な産経・読売の反応】
 産経新聞は6日、「一部の記事が事実無根だったことや不正確なことは認めて反省は表明したが、明確な謝罪は行っていない」と批判した。

 読売新聞も同日、朝日の誤った吉田証言が「韓国の反日世論をあおっただけでなく、日本について誤った認識が、世界に広がる根拠の一つとなった」と指摘した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、日本の新聞は通常互いの報道に言及しないが、朝日新聞の撤回をめぐり今週騒然としていると報じた。

【石破幹事長「検証を議会の場で」】
 安倍首相(当時自民党総裁)は2012年11月の党首討論で、「朝日新聞の誤報による吉田清治という詐欺師のような男がつくった本がまるで事実かのように日本中に伝わって問題が大きくなった」と発言していた。

 朝鮮日報は、朝日による今回の記事は「慰安婦の強制動員はなかった」という信念を持つ安倍首相に対する直撃弾だと報じた。

 自民党の石破茂幹事長は5日、「検証を議会の場でも行うことが必要かもしれない。真実を明らかにしなければ、この先の平和も友好も築けない」「書かれた社の責任を果たされたい」と述べ、国会で対応を行う可能性を示唆した。

 ブルームバーグは、安全保障関連法案を話し合う今秋の臨時国会でさらなる議論がされる可能性があると報じている。

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Text by NewSphere 編集部