血液型と性格は「無関係」…日米1万人調査で判明 日本の根強い“信仰”に冷水、と海外紙報道
「ABO式血液型と性格に関連がある」という考えは、日本に広く根付いており、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は「強迫観念に近い」と形容している。
この血液型性格関連説に“冷水を浴びせる”心理学研究結果が発表された。
【血液型と性格に関連なし】
日本心理学会発行の『心理学研究』の最新号に、九州大の縄田健悟講師(社会心理学)による『血液型と性格の無関連性』と題する論文が発表された。同氏は、日米10,000人以上を対象に実施されたアンケート調査(2004~2005年)をもとに、血液型によって回答に違いがあるかを検証した。
その結果、個人の好みや将来の計画、宗教、ギャンブル、恋愛など68項目の内、65項目において、血液型による特定のパターンは観察されず、血液型と性格は無関連であると証明された。特定のパターンが認められた3項目においてさえ、血液型の違いは0.3%以下しかデータの散らばりを説明していない。従って、「血液型と性格に関連性はない」と縄田氏は結論づけている。
【日本で根強い血液型性格説信仰】
血液型が性格に関連するという考えは、1970年代に日本で急速に広まった。能見正比古氏の著書を始めとする、「血液型と性格が関連する」と主張する多くの本が出版されたことが発端、と『eurogamer』は報じている。
こうした血液型性格診断では、A型は真面目で几帳面、B型は楽天的でマイペース、O型は社交的、AB型は個人主義、とされる。
【海外ではない習慣】
海外では血液型と性格を結びつけることはないためか、日本のこうした慣習は新鮮なようだ。例えば、ゲームのキャラクターにも、名前、身長、年齢とともに、血液型が設定されていることに驚く海外ユーザーも少なくない。『eurogamer』は、血液型性格関連説が根強い日本で、血液型はキャラクターの性格を簡潔に表す手段、と分析している。
さらに、個人の失敗を血液型のせいにする人もいる、とWSJは指摘している。松本龍前復興担当相は「私はB型なので短絡的で本意が伝わらない時がある」と自らの失言を血液型のせいにした(結局、2011年に辞任)。
【血液型別ダイエット】
また、血液型がなぜ存在するのかに関して科学的な答えは出されていない、とBBCは報じている。一方、海外では、血液型を食事や病気と関連付ける説が広まっている。
1996年、ピーター・ダダモ氏により出版された「Eat Right 4 Your Type」はミリオンセラーとなり、60の言語に翻訳された。血液型に合った食事をすることで、がんや糖尿病等を予防し、老化を遅らせることができる、と同氏は主張している。
しかし、ベルギーの赤十字がこのダイエット法の効果を調査したところ、「健康に良い事を証明する直接的な証拠はなかった」という(BBC)。
血液型と性格を結びつけるのは日本独特の慣習といえそうだ。とはいえ海外でも、血液型ベースの“わかりやすい”説明は、受け入れられやすいのかもしれない。どちらも科学的根拠とは無関係だが…。