LCC活況も大量欠航…日本だけじゃない、パイロット不足を海外紙は指摘
格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが5~10月に、2,000便規模の大量欠航を出すことになった。同社は先月から既に448便を欠航している。同じくLCCのバニラ・エアも今月154便のフライトをキャンセルした。
何千というキャンセルの原因は、深刻なパイロット不足である。
【急速に深刻さを増す高齢化】
急速な高齢化がパイロット不足問題を引き起こしている、とテレグラフ紙は分析している。
元防衛大臣の小池ゆりこ議員は、「ベビーブーム世代のパイロットが退職する一方で、若いパイロットの雇用が確保できていない」と指摘している。パイロット不足問題は、急速な高齢化が日本の産業に直接的かつ深刻な影響を与えることを示している。
日本の総人口は、50年後には約8,700万人と現在の3分の2の規模まで減少する、と予測されている。人口の約4割が65歳以上という、かつて経験したことのない著しい超高齢社会になる。
去年1月の時点で、日本には5,686名の有資格パイロットが就航していたが、向こう8年間に、7,000人以上の新しいパイロットが必要、とテレグラフ紙は報道している。
一方で、パイロット不足を少子高齢化によるものと片づけるのは時期尚早、と海外の航空メディア『Flightglobal』は指摘している。
【パイロット不足は世界的問題】
パイロットの不足は、高齢化に悩む日本だけの問題ではない。テレグラフ紙によると、アジアなど急成長市場における深刻なパイロット不足により、パイロットの世界需要が二倍となる、と国連は予測している。
世界経済が上向き始め、航空産業は活況を見せている。『Flightglobal』によると、向こう20年間に、航空会社は現在保有している5,000機を維持し続け、28,000台の新しい旅客機を購入する、とエアバス社は予想している。主要な航空会社の旅客機は現在の16,000機から33,000機と2倍になるであろう。
その内の24,600機は単通路型機のエアバスA320とボーイング737である。それらの短距離機にはそれぞれ3つのクルーが必要であるため、2032年までに、14万7千人以上のパイロットを確保しなければならない。
日本のパイロット不足の解消は困難との見方がある一方、日本航空の大西賢会長は、パイロット不足問題は「非常に短期間の現象」と述べた、とオーストラリアン紙は報道している。
2010年に日本航空が会社更生手続きを申請した際、空港地上業務に移動せざるを得なかったパイロットたちがいた。現在業務の再拡張に伴い、彼らは再び訓練を受けている。
大西会長は、「彼らが訓練を受けパイロットになり、パイロット不足問題は解消される」との確信を表明している。
NewSphere編集部 |