ダンス規制、緩和へ “外国人観光客から退屈と思われたくないから?”海外紙報じる
ナイトクラブやダンス教室の営業を規制緩和するため、古屋圭司国家公安委員長は13日の記者会見で、政府が今秋の臨時国会に「風営法」改正案を提出すると述べた。
「風営法」とは、ダンス教室やナイトクラブのほか性風俗店、パチンコ店、ゲームセンターなどを風俗営業と定め、営業時間や区域を規制する法律である。ダンスホールや飲食店で「客にダンスをさせること」は、「風俗営業」にあたり、公安委員会の許可が必要である。営業時間は午前0時(地域によっては午前1時)までに制限され、無許可営業は2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科せられる。
1948年に制定された「風営法」は長年適用されていなかった。しかし、数年前から警察がバーやクラブを厳格に取り締まり、閉鎖や廃業に追い込まれる店も続出した。2010年に大阪の大学生がナイトクラブの客に殴り殺された事件や、有名人の覚せい剤スキャンダルを背景に若者文化に対する懸念が高まったことが原因、とロイターは指摘している。
今回、政府が「風営法」緩和に踏み切ったのはなぜか。
【東京オリンピックのため】
風営法違反(無許可営業)の罪に問われた大阪市のクラブ経営者、金光正年氏の判決公判で、大阪地裁は4月25日、「風営法の規制対象には当たらない」として無罪を言い渡した。
2011年に「風営法」違反で警察に逮捕された金光氏の事件は、全国的な改正運動を引き起こした。「風営法」改正運動団体「Let’s Dance」は15万人の嘆願署名を集め、2013年5月に国会に提出した。アカデミー賞作曲家である坂本龍一など、有名ミュージシャンも改正運動を支持した、とウォールストリートジャーナル紙は伝えている。
「風営法」緩和に踏み切った安倍晋三内閣には、経済を活性化し、2020年東京オリンピックに備え観光客を呼び寄せる狙いがある、とロイターは指摘している。ウォールストリートジャーナル紙も、法改正により、オリンピック前に多くの外国人観光客を呼び寄せる、という自民党議員のコメントを紹介している。
政治家たちは「日本が外国人観光客から退屈な場所と見られたくないため、プレッシャーを感じている」と「Let’s Dance」の斎藤高弘代表は述べている。
【警察のガサ入れは続く】
「風営法」は、騒音問題、違法薬物、ヤクザ問題等の捜査の口実として用いられてきた。「風営法」改正後も、警察が引き続きバーやクラブに踏み込む可能性がある、とロイターは指摘している。
「風営法」からダンスに言及する部分を削除すれば、警察がクラブでのダンスを禁止することはないが、騒音や迷惑問題に焦点を絞る可能性がある。
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