ウナギで一攫千金?価格高騰で米で密猟者が後をたたず…海外メディア報じる
「国際自然保護連合」(IUCN)は12日、最新の絶滅危惧種リストにニホンウナギを加えたことを公表した。世界のウナギ消費の7割を占める日本、アジアに稚魚を輸出するアメリカでもその影響が懸念される。海外メディアは世界的なウナギ情勢の変化に注目して報じている。
【ニホンウナギの現状】
『Mail Online』によると、政府機関や科学者らで作る IUCNのレッドリストは今年で50周年を迎え、73000種以上をリストに上げている。最新のデータでは4554種が絶滅寸前、6807種が絶滅の危険にさらされており、10742種が絶滅の恐れがあるとした。新たに指定されたニホンウナギは、生息地の減少、乱獲、河川・沿岸開発、水質汚染、海流の変化によって、絶滅の危機にあるとされている。
農林中金総合研究所の報告書によると、ウナギ養殖において人工繁殖は確立されていないため、天然のシラスに頼っているのが現状だ。ヨーロッパウナギ(シラス)の輸入規制、台湾もシラスの輸出を禁止するなど、ウナギを取り巻く情勢はめまぐるしく変化している。
【アメリカウナギ】
アメリカではアメリカウナギの稚魚の価格が高騰している。「アメリカ国外での要因が、過去数年間アメリカウナギの稚魚の価格を引き上げている」、と大西洋岸州海洋漁業委員会の生物学者ケイト・テイラー氏は指摘する。EUによるヨーロッパウナギの輸出規制、2011年の震災の影響を受けて、アジア市場はアメリカウナギに注目している。「ニホンウナギとヨーロッパウナギの供給が追い付かなくなっている」、とテイラー氏。結果アメリカウナギが高騰することになったと話す。
英『WNPR News』によると、東海岸で唯一ヨーロッパウナギの養殖を許可されているメーン州と南カリフォルニア州の養殖場は、2012年には4億ドル(40億8000万円)の価値があるとされた。過去11年の平均額の20倍にもなるという。一方、明確なデータはないものの、アメリカウナギの数は少ない恐れがある、とテイラー氏は話す。合衆国魚類野生生物局は、絶滅危惧種リストに加えることを考慮している。
【アメリカウナギ漁の規制】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、アメリカ合衆国魚類野生生物局が先週、違法なウナギ貿易の調査の一環としてメーン州から南カリフォルニア州の数ヶ所を調査した、と報じた。1990年末以降、今回の調査が初の合同取り締まりとなる。高まる需要を受けて、天然ウナギの保護が急がれる状況下での取り締まりだ。
メーン州では南カリフォルニア州よりはるかに漁獲量が多く、規制が強化されている。捕獲量、捕獲に使用する網の規制、またモニタリング強化のためにウナギを売る際に使う磁器のカードを導入した。密漁者は2000ドル(20万)の罰金か禁固刑に処される。ウナギの価格は過去2年に渡り高騰しており、当局によると昨年メーン州の漁業者は数日で10万ドルの収益を上げた。一攫千金を狙った無免許の漁業者が後を絶たないという。
メーン州エルバー漁師協会の設立者ダレル・ヤン氏はアメリカウナギの数は問題なく、規制は正規のウナギ養殖業者を苦しめていると指摘する。「利益のことだけを考えて見て見ぬふりをしている」と、違法で捕獲されたと知りながら買い付けている業者を非難した。
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