日本の自殺者が減少 景気回復だけが原因ではないと海外報道
政府は閣議で、2014年度版「自殺対策白書」を決定した。白書によると、2013年に自殺した人は2万7283人で、前年よりも575人減少した。自殺者の減少は4年連続で、2年連続して3万人を下回った。
自殺原因のトップは、昨年と変わらず健康問題。続いて、借金や失業などによる経済・生活問題だった。白書では、自殺者を減少させるためには、医療や経済分野の対策を進める必要があるとしている。政府は今年度、約360億円を自殺回避の対策に充てている。
【景気と自殺者数の因果関係】
白書では、景気が低迷し、失業率が上がると、経済的問題を理由に自殺者が増加すると分析している。菅官房長官も記者会見で、景気回復が自殺者の減少につながったとコメントした。しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、健康問題に起因する自殺者と経済問題に起因する自殺者の減少数には、あまり差がないと指摘。景気回復と自殺者の減少には、さほど関連性がないようだ、と報じている。さらに同紙は、自殺者が減少しても、日本が自殺率の最も高い国の1つであることに変わりはないと報じている。
【自殺が若者の死因第1位】
世代別の死因では、15歳から34歳の若い世代で、自殺が1位を占めている。このような現象は、先進7か国(G7)の中では日本だけであり、日本メディアの多くがこの点に注目し、報道している。会見の中で、官房長官も若者の自殺率が高いことに言及し「原因をしっかり精査して対策を講じ、若者が未来に向けて生き抜く力を植え付けたい」とコメントしている。
自殺の原因について、20歳代以下では学校問題や、就職の失敗が上位を占める。児童生徒の自殺については、文部科学省が毎年「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」を実施し、自殺者数や自殺した児童生徒がおかれていた状況等について、現状の把握に努めている。また、メールなどを介したいじめが自殺を引き起こす恐れがあるとして、情報モラル教育の充実を図っているという。
【少数派にも対策が必要】
ヨーロッパの情報サイトのピンク・ニュースは、日本のLGBT(同性愛者や性同一性障害など性的少数者)の児童生徒に注目している。IRHRK(命・リスペクト・ホワイト・リボン・キャンペーン)という団体によっておこなわれた調査によると、LGBTの児童生徒のうち68%がいじめられた経験があり、32%が自殺を考えたという。さらに、22%が自虐行為におよんだ経験があるという。
団体の代表は、「学校はLGBTに関して生徒に正しく伝える方法を確立し、男らしさ、女らしさと定義できるような性的タイプに属さないLGBTの児童生徒に対するいじめを抑制すべき」と語った。
官房長官のコメント通り、若い世代の自殺抑制には、より細かな調査と対策が必要といえる。
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