日本のハイテクトイレ、なぜアメリカで普及しない?“未知の恐怖”を海外メディア指摘

 日本のハイテク製品については海外メディアにも取り上げられている。最近では、TOTOの『ウォシュレット』に代表されるハイテクトイレについて、アメリカのメディアから複数の記事が出た。

【日本のトイレは心地いい】
 テクノロジー情報サイト『Engadget』は、『西洋人のための日本のトイレガイド』と題した記事で、シャワー式トイレを紹介している。慣れていない人々が、「たくさん並んだボタン」「未知のアイコン」「どこかに触れただけで突然水を浴びせられるかも」などという「ファーストコンタクトの恐怖」を軽減するためだ。

 記事には写真が多用され、シャワー機能や『音姫』、トルネード洗浄の仕組みなどが説明されている。また、シャワーノズルからの水流とお尻から垂れる「使用後」の水流が交差しないようになっていることを示す映像もある。

 この記事の読者コメント欄には、

・日本滞在中に試してみて、すぐに自宅にもつけようと思ったものの、契約の問題でできなかった。しかしいずれは手に入れる。

・上司が自宅につけて、気に入って30分ほど語ってくれた

などといった経験談が寄せられている。

【シャワー式トイレを発明したのはアメリカ人】
 最初にシャワー式トイレをデザインしたのはアメリカ人だといわれている。『Ottawa Citizen』(OC)は、以下のような歴史を語っている。

 ブルックリンのアーノルド・コーエン氏が、ペダルで操作する座浴用の椅子のようなものを病気の父親のためにデザインし、特許も取得した。コーエン氏は1964年に『アメリカン・ビデ・カンパニー』を創立し、「アメリカ流ビデ」として売り出した。

 「私はNY郊外の何千もの家にこのシートを導入し、(会社は)国中にオフィスがある」とのコーエン氏は語る。「しかし、広告はほぼ不可能な挑戦だった」

 この発明は日本で結実し、コーエン氏は「TOTOに使用許諾を出して、コンテナに次ぐコンテナを日本に送った」という。TOTOは改良を重ね、ウォシュレットは1980年までに同社のトレードマークになった。1989年にはアメリカでも入手可能になっている。

【何故アメリカで普及しないのか】
 シャワー式トイレは、日本の家庭の75%に据えられている一方で、アメリカではまだあまり普及していない。どのメディアもその理由としてまず「価格」を挙げる。この秋にアメリカでも発売予定の、TOTOの『ネオレスト』の販売価格は1万ドル前後になる予定だ。

 また、『Engadget』と『OC』は「人々がバスルームで行う事柄について話したがらないこと」も理由に挙げている。OCによると、アメリカではビデは「ヨーロッパ的な、フランスの奇妙なモノ」と見られ、上記のコーエン氏の発明品が広告を打てなかった原因もここにあるという。

 どのメディアも、シャワー式トイレの売れ行きは人々の「使用経験」に左右されると見ている。この点について、また、タブーについてもTOTOは気づいていると『Engadget』は伝えている。そのために、消費者が自宅に導入する前に、レストランなどでウォシュレットを試せるような戦略をとっているそうだ。

 一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「アメリカ人には、スマホのようにたくさん並んだボタンは威圧感があるかもしれない」と慎重論を述べている。

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Text by NewSphere 編集部