原発再稼働は秋以降? 大飯原発運転差し止め判決で、遅れる可能性
福井県の住民らが、関西電力大飯原発3・4号機の再稼働差し止めを求めていた訴訟で、福井地裁(樋口英明裁判長)は21日、「運転してはならない」とする判決を言い渡した。判決は、大飯原発の地震対策の不備を認め、「危険性があれば、運転差し止めは当然だ」とした。
菅義偉官房長官は、原発を再稼働させる政府方針は「全く変わらない」と表明。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「従来どおり、我々の考え方で適合性審査をしていく」と述べた。
関西電力は22日、名古屋高裁金沢支部に控訴した。
なお過去の原発差し止め訴訟は2例あるが、最終的には住民側が敗訴している。
【「原発再稼働」を掲げる政府に壁】
今回の判決は、原発再稼働を推進する日本政府の妨げとなる、と海外各紙は報じている。
安価で安定した電力供給のための原発再稼働は、2012年の自民党の政権公約の1つである。4月には、原発再稼働をねらいとする「エネルギー基本計画」を閣議決定している。
ただ、震災以降、日本の全原発は停止したままである。震災前に約30%だった全電力に占める原発の割合を50%まで拡大する計画も、現在棚上げ状態となっている。
また、電力需要がピークとなる夏までに、九州電力川内原発1・2号機が再稼働する見込みだったが、九州電力の申請書に記載漏れが見つかり、保留となった。これにより、最初の原発再稼働は「秋にずれ込む」とアナリストは見ている(フィナンシャル・タイムズ紙)。
【電力各社の財政問題と輸入化石燃料依存】
政府の原発再稼働に進展がみられず、電力会社は深刻な財政問題を強いられている。
原発を持つ電力9社は、原発停止による不足を埋めるため、大量の石油とガスを輸入せざるを得ない。そのため、震災以来3年で7300億円の営業損失を抱えている、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。
ロイターは、この輸入化石燃料への依存が、過去2年間、日本の貿易収支を赤字にしていると報じる。
再生可能エネルギーによる電力量増加の取り組みも行われているが、「総電力量に大きく貢献するまでには長年かかる」と専門家は指摘している(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。
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