中国当局、丸紅関係者3人を拘束 日系企業に矛先? 詳細不明の脱税容疑
丸紅の子会社の中国人社員3人が、中国青島市の税関当局に拘束された。丸紅の広報が24日発表した内容よると、拘束されたのは米穀物子会社コロンビア・グレイン中国法人の社員3人だという。
拘束の理由は不明だが、大豆輸入取引に関し脱税の疑いがかけられているとの情報がある一方、容疑は密輸であるという情報もある。
【いまだ詳細は不明だが…】
ロイターによると、拘束されたのは3人とも女性で、うちひとりはコロンビア・グレイン中国法人の貿易担当幹部Zhang Wenjing氏だという。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、3人とも中国人であると報じている。情報筋によると、関税当局に密告があったとの話もあるという。
同社の大連オフィスは「拘束された社員はいない。Zhang氏とも連絡が取れる」と述べているとのこと。しかしウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、丸紅の広報は「同社および拘束された社員とも数日前から連絡が取れていない」と発表しているそうだ。
【日中関係に新たな亀裂か】
今回の拘束は、日中関係が悪化の一途をたどる最中に起きた、と海外各紙は報じている。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「領土問題で緊張が高まり、さらにはオバマ大統領がまさにちょうど日本を訪問中の折」と報じている。ニューヨーク・タイムズ紙はこの拘束を「日中関係にさらなるもつれが生じる兆し」と表現している。
またロイターは、商船三井の貨物船が中国当局に差し押さえられた件が既に日中関係にとって危険信号となっていたのに、これでさらに両国のビジネス関係に打撃となっただろう、と指摘している。同メディアは、日本が尖閣諸島を国有化して以来両国の関係は急激に悪化し、その後日本企業は投資先を中国から東南アジアへとシフトしている、と伝えている。
【実はよくあること?】
報じられている脱税容疑については、輸入大豆の申告評価額と実際価格の不一致が関税と付加価値税にもたらす差に関連したものと見られている、とロイターは伝えている。
その背景には貿易上の慣例的な仕組みがあるという。大豆のように特に価格が流動的な品に関しては、中国側のバイヤーは暫定価格をベースに注文するのが通例となっており、申告時にはこの暫定価格が評価額として計上される。その後貨物が中国に到着してから、バイヤーはシカゴ商品取引所での先物価格に基づいて価格を修正することができ、この最終価格が貨物の実際の評価額となる。そのため、申告時の評価額と実際の価格には差が生じることになる。必然的に、かかる税にも差が生じるというわけだ。
現在アメリカで大豆価格は高騰しており、今年既に12%も上昇している。そのため売り手も買い手も、評価額を低めに申告する傾向があると貿易関係者は語っているという。
しかし同メディアによると、評価額の不一致は、大豆含むコモディティの取引ではよくあることだという。実際、中国の税関もこの慣習になれているため、今回の件についてもどこまで厳しく追及するかはわからない、と業界の情報筋は語っているとのことである。
もしそうであるならば、商船三井に続いて日系企業に再び矛先が向けられた、という可能性もあるのだろうか。
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