「人生で最高」オバマ絶賛の寿司職人、小野二郎氏 生き様が米国で映画化されていた

 アメリカのバラク・オバマ大統領が23日午後7時前、羽田空港に到着した。米大統領が国賓として来日するのは18年ぶりだ。25日まで2泊3日の日程で滞在する予定。

 同日、オバマ大統領は安倍晋三首相と東京・銀座の寿司屋「銀座 すきばやし次郎」で夕食を共にした。

「銀座 すきばやし次郎」は地下鉄銀座駅から徒歩数分、ビジネス街の地下にある。2007年からミシュランの3ツ星を毎年獲得している名店だ。店主の小野二郎氏は1925年静岡県生まれ。人間国宝と評される。

 海外各紙は、この高級寿司店の様子とその主人に高い関心を寄せている。

【オバマ大統領、「人生で最高の寿司」と絶賛】
 オバマ大統領は安倍首相の招待を受け、駐日米大使キャロライン・ケネディー氏、防衛顧問のスーザン・E・ライス氏と共に寿司を食べた。

 両首脳ともノーネクタイで、食事はとてもカジュアルな雰囲気だったようだ。1時間半の食事の後、オバマ大統領は、「ここの寿司はとても素晴らしかった」(ニューヨーク・タイムズ紙)と記者たちに感想を話した。

 しかし安倍首相と交わした言葉は、もっと感情豊かだったようだ。首相によると、オバマ大統領は「私はハワイで生まれ、これまでにも多くの寿司を食べた経験がある。しかし今夜の寿司は私の人生で最高のものだった」(ニューヨーク・タイムズ紙)と絶賛したという。

【オバマがブッシュに勝った】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、オバマ大統領は素晴らしい日本食体験をしたという意味では、ジョージ・W・ブッシュ元大統領に圧勝だろう、と報じている。

 2002年のブッシュ氏の来日では、映画『キル・ビル』で使われた居酒屋スタイルのレストラン「権八」で日米首脳は食事をした。どちらも高級料亭の食事よりもリラックスして食事でき、これが日本だという雰囲気を外国人が味わえる場所選びだが、質の上では今回の方がはるかに上を行くと評している。

【世界で最も予約を取るのが難しい店のひとつ】
 銀座の「すきばやし次郎」は10人分の座席しかない小さな店だ。メニューはなく、主人にお任せで、20種類ほどの寿司が出る。値段は、ひとり3万円で、香水は御法度だという。1、2ヶ月前からの予約が必要だが、すぐに埋まってしまうようだ。

 ストレーツ・タイムズは、「世界で最も予約を取るのが難しい店のひとつ」と紹介している。

【「二郎は鮨の夢を見る」】
 小野氏に関するドキュメンタリー映画「二郎は鮨の夢を見る」は、2011年アメリカで公開され、思いがけないヒットとなった。監督のデヴィッド・ゲルブ氏は「二郎は完璧な寿司を求め人生を賭ける職人だ」「より早く安い食事を求める昨今の風潮のなか、昔気質を代表する存在」(フィナンシャル・タイムズ紙)と小野氏を表している。

 ゲルブ氏は、「仕事の愚痴を言わないことが二郎のモットーだ。映画を観れば彼の意味するところがよくわかると思う」(フィナンシャル・タイムズ紙)と話す。

 小野二郎氏の親は彼が9歳の時に破産、彼は自分の食いぶちは自分で賄うよう親に言われたという。10歳で露店の寿司屋で修行を始める。さらに有名店での修行を経て40代で自身の店を構えた。彼の経歴を見てわかるように、職人は長年の修行が必要で、給料も安く、小野氏の後を継ぐような後継者が不足しているという。監督によると「寿司職人たちは、映画が人々の関心を高めてくれればと期待している」(フィナンシャル・タイムズ紙)ようだ。

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Text by NewSphere 編集部