“人種差別”横断幕で、浦和レッズにもペナルティ? 海外メディアも顛末に注目
3月8日に埼玉スタジアムで行われたJ1浦和レッズ対サガン鳥栖の試合で、観客席の入口ゲートに「Japanese Only」という横断幕が掲げられた。「日本人以外お断り」という人種差別的な言葉が書かれていたとして、海外メディアも注目している。
【問題発覚の経緯】
浦和レッズサポーターのinumash氏は、弾幕について、ハーフタイム中にゲートの責任者に「すぐに取り下げるべき」と伝えたとのこと。しかし、試合終了まで弾幕は掲げられたままだった。クラブ側は、サポーター代表と話し合い”今後改善に向けて努力する” と述べるに留まっており、無力感に襲われたという。
クラブは公式HPにて、経緯について説明し、謝罪している。クラブによると、17時9分に横断幕の撤去を指示したものの、「当事者との合意の上、取り除く手順」となっており、試合中でもあったことから、18時4分に強制的に撤去したとのことだ。
この試合では、人種差別的なヤジがあったと、警備スタッフから報告されているという。クラブは、横断幕の件と合わせて、調査中だとコメントしている。
【ソーシャルサイトの反応】
一連の事件をうけて、ソーシャルメディアでは、さまざまな憶測が飛び交っている。ただ、横断幕やヤジは、浦和レッズに所属する季忠成選手に向けられたものではないかというのが大半の意見だ、とAFP通信や『ゴール』は報じている。李選手は、今シーズンのJリーグ開幕前にイングランドのサウサンプトンから移籍してきた。日本生まれの在日韓国人だったが、2007年に日本国籍を取得し、2008年の北京オリンピック、2011年のアジアカップに日本代表として出場している。
試合後、浦和レッズの槙野智章選手は、「浦和という看板を背負い、袖を通して一生懸命闘い、誇りをもってこのチームで闘う選手に対してこれはない。こういう事をしているようでは、選手とサポーターが一つにつながれないし、結果も出ない…」とツイッター上でコメントしている。
【組織の対応】
AFP通信によると、クラブは、現在調査中で多くを述べることはできないとしながらも、横断幕が日本の国旗とともに掲げられていたのに注目し、差別的な意味合いがあったのではないか、と見解を示したという。朝日新聞は、関わった観客をクラブが入場禁止処分にする方針だと報じている。意図にかかわらず差別的表現が使われたことを重視した形だ。
Jリーグ側はコメントを差し控えているが、チェアマンの村井満氏は、差別的な意味あいをもつものだった場合、厳しい処罰を科するつもりだという。サッカーを愛する人々を傷つける行為であり、東南アジアでサッカーを広めてゆくためにも、日本のサッカークラブを魅力的なものにしなければならない、とコメントしたことを、AFP通信や『ゴール』が伝えている。
【浦和レッズに課せられるペナルティーは?】
2007年のAFCチャンピオンリーグの覇者となり、アジアのマンチェスターの異名をもつ浦和レッズ。一部のサポーターによる過激な行動が問題視されている。昨年8月には、対戦チームが乗ったバスに煙爆弾を投げたとして4人のサポーターが逮捕された。これに伴い、クラブは10万ドルの罰金を科せられた。今回の問題でも、浦和レッズにペナルティーが科せられるのではないかと『ゴール』は推測している。
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