震災から3年…外遊びを知らない子どもたちも 福島の今を海外紙が伝える
3月11日、東日本大震災から3年が経った。海外メディアは、原発事故の不安を今なお抱える福島の状況を伝えている。
【外遊びを知らない子供たち】
CBSは、「福島原発近郊に暮らす親は、子供たちの外遊びを恐れている」、と伝える。
郡山市内の室内遊戯施設「ペップキッズこおりやま」は、いつも満員だ。お店ごっこや障害物コースなど魅力満載の遊び場だが、なんといっても一番の目玉は、水遊びもできる大きな砂場。福島は、おそらく地球上で唯一「砂遊びが贅沢」とされる場所だろう、と同メディアは伝える。
郡山市では原発事故後、外遊びの時間を2歳以下の子は1日15分、3〜5歳の子は30分以下にとどめるよう推奨していた。その制限は昨年10月に緩められたが、それでも多くの親は自主的に外遊びを避けているという。とりわけ小さい子達は、生まれてこのかた外で遊ぶということ自体知らない、と同メディアは伝える。
ロイターによると、福島で3人の子を持つある親は「なるべく家では窓を開けない。外出も極力控える。食品は県外から買う」と語っている。福島では3歳の子ですら「放射性物質」という言葉を知っていると同メデイアは伝える。
【運動不足がもたらす健康被害】
また福島では、放射性物質の影響よりも先に、もっと明らかな健康被害が子供たちに顕れていると各メディアが報じている。それは室内に閉じこめられることによる身体的・精神的影響だ。
CBSは、日本の子供はおおむね細めなのに福島の子供には肥満傾向が顕れており、かつ運動能力も低下していると伝える。県の教育委員会によると、歩かない、遊ばないという運動不足に加え、事故後のストレスが過食へ向けられる傾向もあるとのことらしい。
体重の増加だけでなく、精神的な影響もある。ロイターによると、郡山市内の幼稚園では、「子供同士の取っ組み合いや言い争いが増えた。あるいは逆に無気力になってしまう子もいる」と園長が語っている。福島のある親は「子供たちは大人よりストレスを感じている」と語ったそうである。
【いまだ先の見えない汚染水処理】
一方デイリー・テレグラフ紙は、福島第一原発で汚染水の処理が大きな問題となっていることを報じている。
同メデイアによると、「汚染水をタンクへ貯蔵し続けることには限界があるため、いずれは海へ放出せざるを得ないだろう」と、東電の改革を指導するデール・クライン氏(元米国原子力規制委員会委員長)は発言しているそうだ。
同氏によると、汚染水からトリチウムという物質は除去することができないが、骨へ蓄積されるストロンチウムやセシウムほどの害がないということで専門家の意見が一致しており、管理下での放出には問題がないと言う。
「いま必要なのは、科学よりも人々の理解だ。東電と政府は国民を説得する義務がある」と同氏は語ったとのことである。
またAP通信は、処理作業にあたる作業員の被ばくについても問題を伝えている。白血病のリスクが生じるとされる5ミリシーベルト以上被ばくした作業員は、事故直後の2011年3月で2900人以上。2013年7月は98人までに減少したが、10月にはまた398人と増加している。
被ばくが許容値に達した作業員は現場から離れざるを得ない。しかし廃炉への作業は何十年とかかる。技術のある作業員を安定確保するのは非常に難しいと東電も認めている、と同メディアは伝える。
「汚染水の処理問題が解決されない限り避難住民の方々は戻ってこられない。我々に託された最重要課題」同メディアはこう語る作業員の声を伝え、厳しい現場の状況と、まだまだ先の長い戦いを案じた。
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