“米軍人を追い出す口実”? 逗子海岸での“怖い”タトゥー禁止、米紙が疑問
逗子市議会は26日、海岸での条例改正案を賛成多数で可決した。条例には拡声器を使った音楽の禁止、海の家以外でのバーベキューと飲酒の禁止、入れ墨・タトゥーの露出禁止が盛り込まれている。海外メディアは特に、タトゥーの露出禁止に焦点を当てて報じた。
【条例改正の背景と国内の反応】
逗子市が今回の条例改正に至った背景には、昨今の逗子海水浴場での風紀の乱れや治安の悪化がある。読売新聞によると、湘南地域での海の家の一部が大音量で音楽を流すなどクラブ化しているという。地元住民の生活について逗子市職員小泉氏は、「夏の間、早く夏が過ぎることを願ってひたすら耐え忍んでいる」現状だと話す。
米軍の準機関紙、星条旗新聞では、逗子海岸は多くの退職者が暮らす裕福な住宅街のすぐそばにあることを指摘している。苦情は過去10年に渡って受け続けてきたが、近年著しく増加しているという。昨年7月同海岸で、やくざの関与が疑われる刺殺事件があったことも影響していると同紙は報じた。
毎日新聞によると、条例改正に対し逗子海岸営業共同組合が訴訟を起こしている。地元では鎌倉市が「営業の自由」等を考慮した上で、クラブ系イベントの開催を禁止する営業ルールを定め条例改正を見送ったという。また葉山町も、組合が営業時間を短縮するなどの自主ルールで対応する。
【海外メディアはタトゥー禁止に焦点】
星条旗新聞では、一番の問題はタトゥーの露出禁止だと報じている。市職員小泉氏は、「タトゥーの露出は他の海水浴客を怖がらせる」と説明した。同紙は、日本では昔から入れ墨はやくざの組織犯罪と関連付けて見られてきたことに触れている。若い年齢層の間でイメージは変わりつつあるものの、伝統的な温泉を始めとする施設では禁止または露出を控えるように求めていることも報じた。
今回の条例では、小さなタトゥーを体の一か所に入れているのは問題ないが、全身などの大きなものの露出は禁止されるという。一方でワシントン・タイムズは、禁止されることになる“怖い”タトゥーの定義が明確でなく、やくざに関連する入れ墨がターゲットにされているのかも明らかでないと指摘する。
【海外読者の反応】
各記事に寄せられた読者の意見は賛否両論だ。
・自分の国でもタトゥー禁止になれば良いのに。
・地元住民の静かな生活と、家族の楽しい海水浴を守るために、条例には大賛成。
・日本にいるのなら日本のやり方に従うべき。
・米軍人を追い出す口実だ。
・米軍人の多くが日本でタトゥーを入れている。まずタトゥー店を禁止したら?
タトゥーそのものについても、多くの見解が寄せられた。
・昔と今とではタトゥーの意味が変わってきている。
・タトゥーも芸術だ。
・タトゥーで人を判断することはできない。
・全身にタトゥーがあれば、見た目で判断するなというのは無理な話。
・タトゥーは何でも怖い。