中国の大気汚染が日本を襲う 「責任は中国だけにあるのか?」の声も
日本の都市部の空気汚染を示す数字が、27日、中国からのスモッグの影響で、政府が警告を発するレベルにまで上がった。健康に深刻な被害を及ぼすとされる微小粒子状物質PM2.5の値は、練馬区で1立方メートルあたり98マイクログラム、港区では88マイクログラムと、世界保健機関(WHO)が示す基準の3倍以上の値を示した。
NHKによると、26日、10の都道府県が、PM2.5の値について注意喚起情報を出した。そのうち、9つの自治体はこれまでで初めて警報を出した。
【深刻な健康被害を及ぼすPM2.5】
ブルームバーグは、大気汚染は中国と日本のどちらにも原因があり、「春の初めは大陸からの大気がまっすぐ日本へ流れてくる」「そのため日本国内で発生した汚染に大陸からの汚染物質が加わることになる」との日本気象協会の佐々木寛介氏の説明を取り上げている。
しかし同時に、日本に流れてくる大気汚染は、無視できない値になっている、と同氏は警告している。
日本が中国の大気汚染に影響されている現実から、排気ガスの排出に関して国際的な管理が必要だ、と『Kotaku』は提案している。温暖化で海水面が上昇するためだけではない。今や発癌の危険性もあるからだ、と早急の課題だとしている。
【中国は環境問題に取り組む気があるのか】
中国は、30年間の急速な経済成長に伴い発生した、環境破壊による汚染問題と格闘している、とブルームバーグは報じている。
習近平国家主席は25日、PM2.5による汚染の値を下げるために、石炭への依存と自動車の利用を減らすべきだ、と述べたことを中国国営テレビが報じた。また中国国営ラジオは、習主席が、汚染問題は中国政府が直面している「最も顕著な」課題だと述べた、と報じた。
しかし、大気汚染が長期化しており、中国政府は汚染対策に本気で取り組む気があるのか、疑問を抱かせる、とブルームバーグは懐疑的だ。
中国のエネルギー問題を扱う国家能源局は、スモッグ対策の一環として、燃料油の改良、石炭利用を減らし、石炭の品質管理の強化を促進すると、同局のHPで目標を掲げた。また、2014年は天然ガスの利用を拡大し、太陽光発電、風力発電、地熱発電など、石炭による火力発電からの多角化を図るとしている。
中国政府の専門家は23日、現在のスモッグ汚染は、「耐えられないレベル」だと訴え、他の専門家は、北京は生活するのに「かろうじて適している」と発言したという。
【中国の環境問題は世界の問題】
日本でのPM2.5の注意喚起情報の記事について、『Kotaku』には、中国に対策を求めるコメントが多く寄せられた。
・中国は、あまりにも人が多くて、建物が沢山あるし、工場も多すぎる。国は生産力を上げ工業を発展させようと必死だ。環境の保護や生態系の保全なんて発想もない。地球温暖化の原因を作っている大きな国のひとつなんだから、環境をきれいにすることに力を注ぐべき。
一方、
・中国が労働力を提供する都合のいい国だって考えるのではなく、何らかの改善が必要だと認める時が来たのでは?それは嫌だって?後10年は目をつぶりたいだって?
と、他の先進国にも責任があることを示唆する意見もみられた。