「アンネの日記」破壊事件、なぜ世界が強く非難? 日本に反ユダヤ主義が潜むとの報道も

 東京都内の複数の図書館で「アンネの日記」や関連図書200冊以上が破壊されている。

 関係者によると、被害は1月後半から次々と発覚しており、破壊の動機はわからないという。

 菅義偉官房長官は21日、「極めて遺憾なことであり、恥ずべきことだ」とし、「警察当局がしっかり捜査するだろう」と語った。

【犯人は反ユダヤ主義者か?】
「アンネの日記」は、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)について書かれた最も有名な書籍の1つである。著者であるユダヤ人の少女アンネ・フランクは15歳のときに強制収容所で亡くなり、その後出版された。

 ニューヨーク・タイムズ紙は、反ユダヤ主義は日本では一般的でないが、雑誌や本にはしばしばホロコーストを否定したり、さまざまな歴史の背景にユダヤ人の陰謀があると書かれていると指摘。1979年に出版されたある本は、広島に原爆を投下したB-29爆撃機「エノラ・ゲイ」は、イディッシュ語で「天皇を殺せ」という意味とする間違った主張をしていると報じた。

【海外の関連団体が日本当局に犯人特定を要請】
 事件は、国際的な非難を集めている。

 アメリカのユダヤ人団体「サイモン・ヴィーゼンタール・センター」は、「衝撃と深い懸念」を示す声明を発表。エイブラハム・クーパー副代表は「組織的な試み」だとして強く非難した。また、「多くの日本人がいかにアンネを学び、敬愛してきたかは知っている」とした上で、「偏見と憎悪に満ちた人だけがアンネの歴史、勇気、希望、愛の言葉を破壊しようとする」と批判。日本当局に犯人特定を求めている。

 オランダの博物館「アンネ・フランクの家」のロナルド・レオポルド館長も、「ショックだ」「これが起きている理由とこのような破壊的な行動で犯人は何を達成したいのか非常に知りたい」と語ったと、ガーディアン紙は報じた。

 また、アンネ・フランク財団のジリアン・ウォルネス常任理事は「非常に奇妙で不穏な事件」と語ったと同紙は報じた。

アンネの日記 (文春文庫)

Text by NewSphere 編集部