STAP細胞、画像使い回し疑惑に世界も注目 海外はどう報じたか?
理科学研究所は17日、新型万能細胞「STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞、英: Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cells)」の研究データについて、疑問の声が上がっているとし、13日から調査を始めていることを明らかにした。
調査は、1月30日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された論文2本について行われているようだ。
STAP細胞は、小保方晴子氏をユニットリーダーとする日米合同チームで研究が進められ、発表された。小保方氏らは現在、聞き取り調査に応じているようだ。
理研広報室は、「ネイチャーに掲載された研究結果は正しいものだと考えている」としている。小保方氏のコメントは今のところない。
【研究への大きな期待】
他の様々な細胞に変化する幹細胞を作るには、これまでふたつの方法が有効とされている。ひとつは人から幹細胞を採取し、体外で複製する方法。もうひとつは、分化した細胞の遺伝子を組み換え、幹細胞として働く状態にする方法だ。しかしこれらは、身体を傷つけたり、発がんの危険があるなどの問題があった。
小保方氏らによるSTAP細胞の研究では、マウスのリンパ細胞を弱酸に浸けるという簡単な操作で幹細胞を作り出したと発表された。この技術を人に応用することが可能になれば、より安全で、倫理的な技術だと期待されている。
【写真を加工した疑い】
STAP細胞の研究成果がネイチャーのオンライン版に発表された1週間後の1月29日、科学論文議論サイト『PubPeer』では、匿名ユーザーが、論文で使用された写真が不自然だと指摘した。米学術雑誌サイエンスが報じている。さらに2月13日にも同サイトで、STAP細胞から分化したとされる胎盤細胞の同じ写真が、何度も使い回されているとの投稿が寄せられた。
日本では13日、2011年の米再生医療専門誌ティッシュエンジニアリングに掲載された小保方氏らの研究報告の画像が加工されたものである可能性がある、とネット上で疑いを提起された。
論文の共著者であるハーバード大学医学部のチャールズ・バカンティ教授は「(STAP細胞の)研究成果が発表されたとき、とても詳細にその真偽を吟味した。現在、結果が完全に正しいものか隅から隅まで調べている。今回の指摘された内容は、単なる手違いではないか。虚偽の意図はなく、結果にも影響は出ないと信じている」と答えた、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
【追試が効かない】
ネイチャーによると、研究結果を追試した他の研究者たちが、いまだに幹細胞を作り出すことに成功していないのも疑いを深める要因となっているという。ただ、これら失敗した実験は、ほとんどの場合小保方氏の使用した細胞とは違う種類の細胞を使ったようだ。
ある研究者は、「高度な実験環境で行われた研究は、他の研究所で再現することは難しい」として、追試がうまくいかないのは当然だとしている。また他の研究者は、「ノーベル賞級の発見にいちゃもんをつけるつもりはないが、慎重に検討を重ねるべきだ」小保方氏の研究結果は「非常に疑わしい」としている。研究者たちは、真偽を明確にするためにも、実験のより詳細なデータを求めている。