米リベンジポルノサイトの創設者が逮捕 “新しい社会危機”に対する日本の法改正は?
リベンジポルノとは、過去交際関係にあった相手のわいせつな画像や動画をネット上に投稿することで、相手の名誉を著しく損ねる行為である。日本政府はこの新しい社会危機に対して、法改正を視野に対策を講じている。
【日本国内で急増するリベンジポルノ】
サウスチャイナ・モーニング・ポストでは、日本政府が国内で急増しているリベンジポルノ取り締まり強化に向けて新しい法律制定を検討中である、と取り上げた。同紙によると、リベンジポルノによる被害件数は2008年の8,121件から2012年の27,334件と近年急増している。当局は、先年度の被害件数が3万件を超えるのではないかと予測しているという。
同紙はまたリベンジポルノが被害者の精神的苦痛につながるだけでなく、さらに深刻な事態を招いた事例もあることを指摘している。10月には、18歳女学生が別れた交際相手に刺殺されるという最悪な結果を招いた。リベンジポルノによって脅迫されていた被害者が、相手からの着信やメールを拒否していた矢先に起きた悲劇だった。
【日本政府、自民党の対策は】
評論家が“新しい社会危機”と評する事態に、日本政府は早急に対策を講じることが求められている。「被害者が画像や動画の迅速な削除を求められるよう、法改正すべき」という、自民党女性局長である三原じゅん子氏の発言も自民党を後押しした、とサウスチャイナ・モーニング・ポストは報じている。
まず改訂を必要とするのは、ネット上の画像削除にかかる時間だ。昨年末自民党は、新法制定か、既存の法律を改訂これに追加するいずれかの方法での法改正を検討していると発表した。三原じゅん子氏は、「既存の法律が正常に機能しているのであれば侵犯は増加するはずがない。また被害者が無力さを感じることもないはず」と指摘する。自殺した被害者もいることを念頭に、法の強化と厳罰化が事態を抑えると見ている。
【ハンター・ムーア氏逮捕に見る海外の対策】
23日、リベンジポルノサイトとして悪名高い「Is Anyone Up?」の創設者ハンター・ムーア氏が逮捕された。違法な手段で入手されたと知りながらわいせつな画像を購入、その購入経路を意図的に隠ぺい、画像を自身のサイトに掲載していたという起訴内容である。数百人の被害者のEメールアカウントに違法なアクセスを繰り返し、情報及び画像を入手し代金を受け取っていた男性とともに起訴された。今後有罪判決が下れば懲役が確定する。
WIRED は10月にカリフォルニア州が、意図的な嫌がらせによるオンライン上のヌード写真掲載に、禁固6カ月または1,000ドルの罰金を課す法を成立したことを取り上げた。その上で、リベンジポルノにつながる違法な行為自体を取り締まることがひとつの対策となるだろうと指摘する。
日本でも法改正が急がれる一方で、若年層における教育と倫理が要因であると考える意見もあることに、サウスチャイナ・モーニング・ポストは言及した。北海道文教大学講師、渡部淳氏は「現代のテクノロジーが画像を記録しネットに投稿するのを非常に容易なものにしている。倫理の欠如と組み合わされば、新しい社会危機となる」と同紙に話す。「リベンジポルノはいともたやすく実行できる、個人的で屈辱的ないじめの形。日本の社会とメディアは若い人たちに適切な行動を教え込む対策を講じる必要がある」。