東京電力の新再建計画で、原発再稼働はできるか? 海外紙は柏崎刈羽の行方に注目
15日、経産省は東京電力の新再建計画を承認した。これによって、東電は国から4兆円の追加融資を受けることになったが、再建への道は原発再稼働なしでは遠いのが実情だ。
そんななか、東京都知事選では、小泉元首相をバックにつけた細川元首相が立候補を表明し、脱原発が選挙戦の争点となりつつある。厳しい経営状況と原発反対の声の中、東電に再稼働の日は来るのだろうか?
【コストカット、人員削減に踏み込む】
ロイターによると、新再建計画では、より深く踏み込んだコストカット、スタッフ削減を予定している。東電はこれにより、2015年3月までの1年で、経常利益1677億円を目標としている。新計画の認定書を東電の広瀬社長に渡した茂木経済産業相は「事業を続ける機会を与えられたのだから、賠償、施設の廃炉、安定した電力の供給を行なってほしい」と伝えたという。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、4兆円の追加融資は盛り込まれたものの、新計画には東電の財政健全化のための明確なロードマップは含まれていない。大惨事となった福島第一原発の事故の後処理と、その賠償のための多額の支払いで、東電はいまだに苦しんでいるからだ。
【柏崎刈羽原発の再稼働は不可欠】
同紙によれば、この夏までに柏崎刈羽原発の2つの原子炉を稼働させられるかどうかが、東電再建の鍵となっている。再稼働ができた場合、東電は天然ガスや原油の購入を減らすことで、燃料費を年間1000億円カットすることができるという。
ブルームバーグは、「もしも再稼働がないのなら、東電は赤字となる。その赤字を埋めるために電気料金を上げることに、消費者は賛成しないでしょう。柏崎刈羽が再稼働しなければ、新計画が立ち行かなくなる危険を東電は抱えている」というBNPパリバ銀行のチーフ・クレジット・アナリスト、中空麻奈氏のコメントを紹介している。
【安倍首相は再稼働を望むが、反対の声は大きい】
ブルームバーグは、経済成長のためによりコストの低い電力を供給するには再稼働が必要だという安倍首相の意見を伝える一方、世論は再稼働反対を望んでいるとしている。
安倍首相のよき助言者であった小泉元首相は、いまや反原発を支持し、東京都知事選に反原発を主張して出馬する細川元首相のバックアップをしていると報じた。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田知事が強烈に再稼働に反対しており、新計画にはこの反対をどのように処理するのかは何も示されていないとも報じている。
なおブルームバーグによれば、東電は9月、原子力規制委員会に柏崎刈羽の原子炉の安全審査の申請をしているが、同委員会は審査の完了時期に関しては発言できないとしている。