日本の人口減少は“良いニュース”? 海外メディアが分析するメリットとは
厚生労働省によると、2013年、日本の人口は24万4千人減少し、過去最多を更新した。人口減少は7年連続となった。海外メディアは、東アジア諸国が近い将来、日本と同じ問題に直面することになるだろうと予想している。
【日本人は少子化を推し進めてきた?】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、2013年、日本では31秒に1人が生まれ、25秒に1人死亡した計算になるという。英ニュー・サイエンティスト誌は、世界で最も高齢化が進んでいる日本の国民平均年齢は46歳、平均寿命は84歳で、既に人口の4分の1が65歳以上だと紹介。出生率は、女性1人に子ども1.4人の割合で、4人に1人は出産していないことになる。
同誌はまた、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)の人口統計学者の、「勤勉な日本人は、自ら大規模な少子化を推し進めてきた」という分析を紹介。日本は今後50年間で、さらに人口の3分の1を失うとして、景気の先行き、労働力の確保に不安が高まっているという。
一方で、アメリカは同様に低い出生率でありながら、1年間に10万人以上受け入れる移民政策が功を奏している、と同誌は報じている。2013年から2100年までの、世界人口増加の半分を担う8ヶ国のうちの1国として期待されている。やはり人口が減少傾向にあるロシア、ルーマニア、ハンガリーといった国々も、移民を受け入れることで、減少傾向を遅らせているという。しかし日本では移民政策は積極的に推進されていない。
【人口減少には良い面も?】
ニュー・サイエンス誌によると、人口減少を悲観視する意見がある一方、人口増加に歯止めがかかるということは、地球の生命維持機能への負担を軽減するために必要な第一段階である、とする声もあるという。前述の人口統計学者は、日本の少子高齢化について、教育費の減少、住居面積拡張、1人当たり耕地面積の拡張、生活水準の向上などをもたらすのではないか、とコメントしている。地球への負担、食料を始めとする資源への需要も軽減される、という見方だ。
同誌は、その点において、日本の人口減少の例に倣うのは、今まさに必要なことなのかもしれないと、論じている。
【世界的な人口減少の傾向】
世界の人口増加はじきに頂点に達し、そこからゆっくりと減少し始める。スウェーデンの統計学者は、近年、世界の0歳から14歳までの人口が、減り始める最高点に到達したと話す。出生率も過去40年間で半減し、女性1人に2.5人となった。人口減少による、将来的な経済成長の妨げを懸念する中国は昨年、「一人っ子政策」を緩和した。
国連は、2030年から2035年の間に、東アジア全体が日本と同様の傾向になるだろうと予測している。生活水準向上につながる結果となるのか、不安が現実のものとなるのか、同地域で先陣を切って少子高齢化に直面している日本に、世界が注目しているようだ。