世界初のロボット宇宙飛行士「キロボ」会話実験成功、海外メディアの反応は?

 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する若田光一さんと、人型ロボット「キロボ」の会話実験が、6日に行われた。キロボを開発した「きぼうロボットプロジェクト事務局」が、会話実験の映像を公開した。このプロジェクトは、東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージ、トヨタ自動車、電通の共同研究によるもの。

 同プロジェクトのサイトでは、キロボの挨拶から始まる、実験の動画が公開されている。若田氏の「キロボくん、もう無重力に慣れたかな?」との問いかけに、キロボは「もう慣れたよ。ぜんぜん平気」と答え、宇宙に来て「半年くらいかな?」と語るなど、スムーズにやり取りしている。

 キロボは音声と顔を認識、日本語での会話が可能で、通常の会話にアドリブで答えることが可能だ。地球から送られた指示を若田氏に口頭で中継することもできるという。

【宇宙ロボット開発、まだ途上か】
 同紙は、これまで日本のロボット研究者は、真面目なプロジェクトよりエンターテイメントのために製作している点でしばしば批判されてきた、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。

 対してNASAは、宇宙飛行士と共に働くマシンを開発する「ロボノート」プロジェクトを推進している。同プロジェクトのマネージャーによると、宇宙飛行士の作業負担を減らし、科学実験などにより集中できることを目指しているという。

 その点、今回のキロボへの注目度は海外でも高く、製作者も「多くの人が興味を持ってくれた」ことが重要と語っている。ただし、日本の高度なロボット工学の専門知識にも関わらず、現状ではこうした分野への後続が見込めないという業界関係者の見解も同紙は伝えている。

【ガーディアン紙コラムの皮肉】
 一方ガーディアン紙のコラムは、キロボのような「しゃべるロボット」は宇宙で危険な存在だと皮肉っている。閉鎖空間で孤独な数ヶ月を過ごす宇宙飛行士の助けにはなるだろうとしつつ、「2001年宇宙の旅」「ターミネーター」「スターウォーズ」等の映画を挙げ、制御不能になったロボットへの脅威を指摘している。

Text by NewSphere 編集部