基準値以下の汚染水を海へ 海外専門家、現実的な対策が必要と主張
5日、福島原発事故独立調査委員会の黒川委員長は、航空業界が「ブラックボックス」で事故を防いでいるように、世界の原子力産業は、国際的な共通語と基準、透明性をもって衝突事故を防ぐべきだと語った。ブルームバーグが報じている。
【規制当局は海外と協力せよ】
同委員会は昨年7月発表の報告書で、「原子力を扱う何者にも組織にも許されざる怠慢と横暴」などと述べ、事故を東電と当局の共謀による人災と断じた。海外には好評であったが、国内では官僚主義により概ね無視されたと黒川委員長は語っている。
それでも委員会の提言により、昨年、法的独立性の高い原子力規制庁NRAが発足した。が、NRAにはまだ海外経験が不足しており、スタッフを派遣して経験を得たり、繋がりを作るべきだと、黒川委員長は主張する。また透明性も不足しており、特に安倍首相が国内の原子炉を再稼働させたいのならば、年数、安全性、地震リスクで各原子炉を格付けせよと主張する。
国内電力会社が発電、変電、送電を独占し、政治的影響力をもって発電と送電の分離と新規参入を妨げているのに対抗するにも、国際的な規制当局ネットワークに頼るべきだという。
黒川委員長は、日本の原子力規制庁は国内電力産業からだけでなく海外の当局からも孤立しており、「一国での孤立は大変危険な事です」と警告した。
【非現実的な汚染水対策を改めよ】
一方、ザ・ディプロマットは、福島原発の汚染水問題について、専門家の視点から、過剰に不安を煽る報道に警告を発ししている。そうしたプレッシャーのため、福島に限って現在の汚染水排出基準は飲料水よりも厳しく設定されており、非現実的であるという。
そして、貯水タンク増設や氷壁建設など、効果が疑問でコストパフォーマンスも悪過ぎる対策を取るよりも、地下水の事前汲み上げや濾過装置など、現在までに一定の効果を挙げている方法に重点を置いたうえで、ある程度のレベルで汚染水を海に流して希釈すべきだと主張する。放射能は目に見えない点が恐怖の源となっているが、それは水道の塩素も同様であると、記事は説いている。