中国人留学生に褒章 日中友好への期待など、中国では3万件のコメントも
9月、台風によって氾濫した大阪・淀川に転落した男児を中国人留学生厳俊さん(26)が救出した。この勇気ある行動に対し、13日、厳さんに紅綬褒章が授与された。
また安倍首相からは感謝状が贈られた。安倍首相は、厳さんの勇気ある行動を「日本の青年の模範となる立派な行為」と賞賛したことを新華社は伝えている。
厳さんは、「このような賞を頂くとは予想していなかった」「中国人なら皆する事をしただけです」とコメントしたことを各メディアが紹介している。
なお紅綬褒章は「自己の危難を顧みず人命の救助に尽力したる者に授与される」もの。1881年の制定以降、授与されるチャンスは稀である事を中国メディア・CRIは伝えている。
中国の反応は?日中の友好関係を期待する声
表彰を受け、中国外務省の泰剛報道局長は、「中国人留学生に助けられた少年が大人になって日中友好に貢献するよう期待する」とコメントしたことを、新華社は紹介した。
菅官房長官も13日、「日本と中国は共に世界平和維持に貢献する責任がある。日本の国民は日中の友好関係の重要性を知っている」との見解を示した。
厳氏の勇気ある行動は、中国のネット上でも賞賛されているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。中国新聞社によると「一般的な中国と日本の市民は友好関係を楽しみにしている」というのが人気のコメントだという。日本政府の表彰に対しても「悪くはない」といったコメントがあったようだ。
14日に該当する記事が消されるまでの間、3万件以上のコメントが寄せられていたと同紙は伝えている。
青年の栄誉が緊張緩和の引き金となるか?
海外各紙は、尖閣諸島の領有権などをめぐり冷え込む日中関係にも触れている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、日本政府は10月、中国の当局者が関係改善を求めて非公式に来日したと述べたが、中国側はこれを否定している。
日中間の溝は簡単には埋まらないものの、両国にとって貴重な「良いニュース」となったことは間違いないだろう。