福島第一原発、燃料棒抜き取りへ 安全アピールする東電、懸念指摘する海外紙

 福島第一原発4号機解体に向け、1000本を超す燃料棒の抜き取り作業が始まる。BBCが「並外れて繊細で危険な仕事」と評している作業だ。

 事故当時、4号機はたまたまメンテナンス中で燃料棒は格納状態にあったため、1~3号機のようなメルトダウンは免れた。その代わり燃料棒貯蔵プールには大量の瓦礫が落下しており、抜き取り作業をより困難なものにしている。

【「これまでの同社の危機対応」への不信】
 テレグラフ紙は、東京電力による英語解説動画を伝えている。動画は計画の周到さを謳っている。まず建屋を補強し、貯蔵プール内の瓦礫を撤去したうえで、プール内で燃料棒を特別製のカスク(密閉容器)に移し替える。燃料棒22本ずつを納めたカスクは道路または鉄道で恒久貯蔵プールまで、放射線を漏らすことなく輸送される。使用される各種クレーン類は東日本大震災規模の地震が再発しても耐えられる頑強なもので、ワイヤーの過負荷を検知する機能もある。燃料棒は持ちあげに耐えられるかの状態検査もされている、という。

 これに対しBBCは、燃料棒に損傷があっても遠隔検査では発見できていない可能性や、カスクの耐水性に問題があるなどで燃料棒が空中に露出する可能性を懸念する。燃料棒が水中から空中に露出すれば、過熱や放射線発生の危険がある。東京電力は、クレーンの能力には余裕があり、また衝突試験の結果、万一カスクを落としても変形はするかもしれないが密閉が破られることはない、と主張している。BBCは「これまでの同社の危機対応に大衆がここまで怒っている以上」、素直には信用されないだろうとの見方だ。

 カスク1杯分の抜き取りには7~10日を要するという。また経済産業省当局者によると、恒久貯蔵プールの想定寿命は10〜20年間とのことだ。

Text by NewSphere 編集部