英紙、ワーカホリックを懸念 日本の「過労死」が再び注目を浴びるワケ
最高裁は1日、過労死で従業員が労災認定された企業名の情報公開をめぐる訴訟で、公開を求めていた市民団体の上告を退けた。
2009年3月、団体側は大阪労働局に対し、過去7年間に管内で労災補償をした企業名の開示を請求。労働局は不開示と決定した。
1審大阪地裁は開示を命じたものの、2審大阪高裁は「ブラック企業と評価され、信用を損なうおそれがある」とし、1審判決を取り消していた。
【日本における「カロウシ」の実態はより深刻】
過労死は主に、週110時間程度にも及ぶ長時間労働を強いられ、仕事のストレスで悪化した心臓疾患が原因とされている。
日本で過労死と定義づけられた最初のケースは、1969年に朝日新聞の発送職場で働いていた竹林勝義さん(当時29歳)の事件である。最近では、東北自動車道のバス事故で死亡したバス運転手、土田義昭さん(37)の死因が虚血性心疾患だったことが判明した。
厚生労働省によると、日本における過労死は年間約200件だという。また80年代後半からは、過労自殺も深刻な社会問題となっている。
しかし会社側は責任を逃れ、遺族は死を静かに受けとめようとするため、日本の「カロウシ」と「カロウジサツ」の実際の犠牲者はもっと多いとロシアのニュース専門局RTは報じた。
一方、日本では1日12時間働くのが普通で休日返上もする「カロウシ文化」があると指摘する研究もあると、イギリスのテレグラフ紙は報じている。
【イギリスは「ワーカホリック」の国か?】
イギリスでも銀行や法律などの業界で、働き過ぎで破滅する若者(特に18~22歳)が指摘されている。「10~20%がワーカホリック(仕事依存症)」との研究もあるとテレグラフ紙は報じる。
ただ、「ワーカホリック」という言葉が生まれたのはここ10年で、まだ議論の余地があるようだ。専門家の中でも、「ワーカホリックとなった人は利己的で、共感と思いやりが欠けた人格へと変わる」「ワーカホリックとされる状態は人間のありよう」など、意見が分かれているという。
ケンブリッジ大学の行動中毒の専門家は「本当に考えるべきは、その人の脆弱性のレベル」との見解を示しているという。脆弱性のレベルは、遺伝子や脳の構造、衝動性などの人格、あるいは薬物・ギャンブル依存が起因している可能性があるという。
テレグラフ紙のコメント欄には、「イギリスはワーカホリックの国でなく、債務奴隷の国だ」「長時間労働と、効果的で生産的な仕事は2つの全く異なること」などの意見のほか、「山ほどの債務と高齢化問題を抱えるイギリスでは、倒れるまで働き続けるべき」などという辛辣な意見も寄せられている。