海上自衛隊の「ミスコン」アプリに海外も注目
日本の海上自衛隊は9月、スマートフォンアプリ「Mr.&Ms. JMSDF」をリリースした。このアプリでは、海上自衛隊の男女隊員各3名のムービーが視聴でき、人気投票を行うというもの。アプリは無料で、iPhone,Androidに対応している。
AFPによると、リリースから12.3万もの投票があり、一番人気は、潜水艦救難艦「ちはや」の市橋徹也3等海曹だという。予告ムービーでは、危険な任務に向かう彼の正直な気持ちや、鍛え上げられた上半身をあらわにしてトレーニングに励む様子などがみられる。残念ながら、映像は1分30秒と短く、思わせぶりに終わる。コンテストの優勝者だけ、続編が制作・公開される。
なお、アプリから「推し官」に投票するには、海上自衛隊に関する10の質問に答え、6問以上を正解しなければならない。ただし、クイズには何度でも挑戦できる。
【ターゲットはハイテクマニアの若者】
コンテストは、工学系の若者に狙いを定め、海上自衛隊への関心を高め人気を上げようというもののようだ。そのためか、候補者たちは皆、若く写真写りの良い、「かっこいい」職務につく隊員たちだ。
アプリでは、ソマリア海の沖で海賊船の疑いのある船へ捜査に乗り込む隊員、緊張が続く東シナ海で偵察飛行を続けるパイロットの様子などがみられる。
タイム誌によると、海上自衛隊の広報官は、「日本の若者には、多くの選択肢が可能だが、その中で海上自衛隊についてよく知らない人が多い」、「彼らが、アプリを通し、海上自衛隊の現場を見て、関心を持ってもらえればと思う」と述べているという。同誌は、自衛隊が常に人員不足に悩んでいると指摘している。
【自衛隊を名実ともに「軍隊」へ】
日本の軍事力は巨大だ、とタイム誌は報じている。軍事費の額は、世界で5、6番目に位置し、米国海軍と緊密な連携をとる100を超える軍艦を保有。日本の海上自衛隊は、世界でもトップクラスの、事実上の軍隊だ、と指摘している。
安倍晋三首相は、自衛隊の拡大と憲法9条の改憲に反対する人々をなだめ、軍事費をさらに押し上げたいようだ、と同紙は報じている。しかし着任後、9ヶ月は、経済に主眼を置いてきたし、防衛に関しての国民の支持は、いまだ弱いようだ。
米国のアジア専門家は、韓国・中国との緊張の高まりや、震災での救助活動の高評価などにより、以前より日本国民の自衛隊への関心と支持は強くなっているとみている。ただし、依然として国民は改憲に反対し、軍備拡大を好まないだろう、とも指摘している。