イルカ漁の町、「海洋公園」オープンへ 海外から賛否の声
和歌山県太地町が、海洋哺乳類公園をオープンさせる予定だと報じられている。北西の入り江にネットを張り、約28万平方メートルを確保し、「クジラのサファリパーク」として5年以内のオープンを予定しているものとのことだ。小さなクジラやイルカと泳ぎ、カヤックなどもできるようにするという。
なお同町は、2009年のオスカー受賞ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」で、イルカの追い込み漁が批判的に取り上げられていた。近隣の畠尻湾では現在も追い込み漁が行われているという。
【太地町のイルカ漁】
イルカ漁は、地元の人にとっては牛の屠殺と違いがないものとして、400年の伝統があるとAFPは伝えている。和歌山県は、太地町の2012年のイルカ捕獲量を1277頭と発表、今年度は2026頭を許可している事をジャパン・デイリー・プレスは報じている。また同紙は、捕獲されたイルカは水族館や外国の海洋公園に売られ、残りは食用となる事を伝えている。
【イルカ漁存続の為の海洋公園】
AFPの取材に対し、太地町役場の和田正希氏は、「すでにイルカや小さなクジラを観光資源として使用している」と語っており、「夏には仕切られた場所でクジラやイルカを見ながら泳げる」「町全体を公園にする長期的かつ大規模なプラン」と語っている。
また同氏は、公園の設立に関して「自然保護活動家による圧力に屈したものではない」とコメントしており、公園の収益をイルカ漁存続に役立てること、観光客にイルカやクジラを見てもらい、イルカやクジラの肉を含む海産物を食べてもらうための構想、との見解を明らかにしている事を各紙は紹介している。
【海洋公園計画の影響は】
海洋公園の計画は、イルカ漁に反対するため頻繁に太地町を訪れている自然保護団体によっていち早く非難の対象となった事をテレグラフ紙は伝えている。
イルカ&クジラ・アクションネットワークの倉澤七海氏は、公園の設立計画に関して、「イルカやクジラは太地町のものではない」とし、計画は捕鯨漁反対派を煽るものとなると懸念しているようだ。
このニュースに関して、海外の読者からは、「イルカと泳いだり屠殺できるのか!」といった皮肉や、「この町の歴史の一部であり、このような報道は誤解を招かないようにするべき。」といった慎重なコメントも寄せられている。