福島原発で再び汚染水漏れ 海外紙は東電を批判

 福島第一原子力発電所を管理する東京電力は3日、貯蔵タンクから汚染水が漏れ出たことを発表し、一部が海に流れ出た可能性があることを認めた。東電の説明によると、作業員がタンクの容量を誤ったこと、タンクを傾斜のある土地に建てたため傾いていたことが原因だという。12時間ほどのあいだに、430リットルが漏れ出たとみられる。

 漏れ出た汚染水は、1リットル当たり20万ベクレルのベータ線を出すストロンチウム90を含む。国の基準では、海に放出してもよいストロンチウム90の放射線量は1リットル当たり30ベクレルだ。

【止まらない汚染水漏れ】
 東電は、繰り返し汚染水漏れを否定していたが、7月になって、破壊した原子炉から汚染水が海に流れ出たことを認めた。その後8月20日には、300トンの汚染水漏れを報告した。

 それから2ヶ月も経たずに、再び汚染水が漏れ出した。

 東電は、今回の失態について、タンクの周辺や海に汚染水が流れ込まないようタンクの周りに作られたせきに、雨水が溜まり溢れ出るとの指摘を受け、雨水を汲み出す作業をしていたという。しかし、汲み出した水の量が多く、結果としてそれを注いだタンクがあふれるという事態に及んだ。大部分の水は土に染み込んだと考えられるが、一部が排水口を通じて海に流れ出た可能性があるという。

 東電は、排水口に通じる溝は、砂袋で遮断したと説明している。

 ガーディアン紙は、他のタンクの側の土から、高濃度の放射線が検出されていることを取り上げ、タンクに構造上の問題があるのでは、と指摘している。

【疑問視される東電の処理能力】
 東電は、事故を起こした原発を冷却するために1日に400トンの水を使用しているという。その汚染水を貯蔵するため既に1000個以上の地上タンクを建てている。

 同社の広報担当である小野雅之氏は、原発事故後の処理について、「私たちが解決し、しっかりと対応していかなければならない長期的な問題です。」と述べた。

 海外各紙は、度重なる過失で示されるように東電の汚染水漏れ対策は不十分だ、と報じている。これに対し、菅義偉官房長官は3日、東電は問題に対応する能力があると考えている、と述べた。

 一方で、政府は9月、470億円を汚染水漏れ対策に拠出すると発表した。また原発事故処理に、より積極的に関わっていくとしている。

 政府は、流れ出た汚染水の量は把握しており、原発周辺の湾にその拡散は限定されるとし、あくまで状況は掌握されているとの姿勢だ。そして、海に流れ出た汚染水は、海水によって薄まり、他国への環境被害はないとしている。

 汚染水漏れの要因となった2日の豪雨は、日本に接近した台風によるものであった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、秋は台風シーズンであり、今後豪雨が襲えば、東電の能力が再び問われると報じている。

Text by NewSphere 編集部