ミレニアル世代のお金の使い方:生活に無理のない範囲で慈善活動を行う

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 ミレニアル世代は慈善活動に積極的であるといっても、たいした驚きはないかもしれない。

 ミレニアル世代による慈善活動を10年にわたって研究してきた「ミレニアル・インパクト・レポート」によると、この世代は、個々の組織よりも慈善事業を支援することに信念を持つ傾向が強いという。寄付に関しては、対人関係における横のつながりから影響を受けることが多く、お金と時間、リーダーシップという観点から社会に貢献したいとの考えが強いことが報告されている。

 キャリアを築くにつれて、経済的に寄付を行う余裕が出てくるのではないだろうか。所得にかかわらず、関心のあるテーマに優先順位を付け、戦略性を持って寄付を行うにはどのようにすべきか、ここで紹介したい。

◆寄付の計画を立てる

 環境問題、女性問題、児童教育、動物福祉……計り知れないほどの時間とお金が大きな支援となり得るような、実に多くの問題がある。

「最も関心のあるテーマを書き出すことから始めてください」と、インディアナ大学の「女性のためのフィランソロピー(社会貢献)研究所」で暫定所長を務めるアンドレア・パクター氏は話す。

 リストを作成することで、自分にとって大切なことが明確になり、お金や時間の使い方が定まる。(ファイナンシャルプランナーによると、これは金銭的な目標の優先順位をつける時にも実用的な方法だという。たとえば、頭金を貯める、学生ローンを返済する、予算計画を立てる、などである)

「そして次に、今あなたが行っている寄付について、自分の価値観に沿っているのか、実際に評価を行うのです」と、パクター氏は述べる。

 慈善活動に関わるのは、友だちや家族から協力を求められたときや、フェイスブックの「募金する」をクリックするときのみだと気づいたならば、寄付の計画を立てよう。そうすれば、本当に関心のある問題に重点を置くことができる。

「寄付の計画を立てることで、お願いをされても、罪の意識を感じることなく断ることができるようになります」と、パクター氏は話す。

◆慈善活動のための資金を設定する

 ファイナンスの専門家によると、慈善活動への寄付金額が所得に応じて定められるような決まりはない。

「十分の一税」を導入している宗教組織は、所得の10%を寄付するよう提言しているが、それを支持しない限り「正しい」金額は存在しない。

 バージニア州リッチモンド近郊にあるシンプリシティ・ウェルス・マネージメント社の認定ファイナンシャルプランナー、クリスティーン・センテーノ氏は次のように述べている。「自分にとってできること、それが全てです。慈善のための寄付は大切ですが、退職後に向けた貯蓄や手元の資金を備えることも忘れてはいけません」

 寄付金に代わるものとして、自分の時間や知識を活かしてボランティア活動を行うこともできる。

「所得の大小にかかわらず、寄付に充てる金額の割合を決めることも可能」と、ロードアイランド州プロビデンスにあるデクラッタ・ユア・マネー社のファイナンス・コーチ、テレサ・スティーブンス氏は話す。同氏はミレニアル世代向けにコーチングを行っている。

 目標金額に達するまで待つのではなく、わずか1%でも今、始めること。そうすれば貯蓄する習慣が身につき、他の資金管理にもプラスになるとスティーブンス氏は説明する。

「所得が変わったときには、優先順位に変更はないか、寄付に回せる金額はいくらか、当初の寄付計画に立ち返ることが必要である」と、パクター氏は述べている。

 スティーブンス氏は、寄付に充てる資金を2種類に分けることを提案している。1つは自分で選んだ慈善活動への寄付、もう1つは自然な流れで行う寄付である。「寄付のために5%分を確保するとして、3%を自分で決めた慈善事業へ、そして残りの2%はフェイスブックの募金キャンペーンや突発的に生じた問題のために残してもよい」と、同氏は言う。予算の範囲内で、自分が選んだ慈善事業への寄付とそれ以外の両方を割り振ることが重要である。

◆意味のある影響をもたらす

 たとえ、自分が行う寄付は取るに足らないと感じようとも、寄付をすること自体に意味があると確信してよい。

 パクター氏とセンテーノ氏は、『「Charity Navigator (チャリティ ナビゲーター)』や『「GuideStar(ガイドスター)』などのウェブサイトを見るようアドバイスする。そこでは、非営利団体を探したり、公表されている税務申告書を調べたり、また、自分が選んだ慈善活動に最も大きな影響を与える団体を見出すことができる。

 手始めに、地域にあるコミュニティ財団のウェブサイトを閲覧するのもよい。多くの場合、十分に調査された地域の支援可能な団体が一覧表にまとめられている。

 最後に、「もしあなたの友人も同じ慈善活動に関心を寄せているのであれば、その事業への寄付額を倍にするチャンスだ」と、センテーノ氏は述べる。

By AMRITA JAYAKUMAR of NerdWallet
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP