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レアアース埋蔵量、世界で最も多い国は? 地政学的リスク、日本の取り組み

ガドリニウム|LuYago / Shutterstock.com

◆中国が圧倒的首位、世界のレアアース埋蔵量ランキング
 世界のレアアース市場で圧倒的な存在感を示しているのが中国だ。USGSの1月発表のデータによると、中国の埋蔵量は4400万トンで、世界全体の約半分を占めている。

 埋蔵量の規模だけでなく、採掘から精錬、磁石などの最終製品まで一貫して国内で抱える産業構造を持つ点が、中国の強みをさらに押し上げている。環境規制の厳しさや採算性の問題から他国での鉱山開発や精錬能力の整備が進みにくく、結果として中国の供給網が国際市場の「基準」になりやすい状況が続いてきた。

 2位はブラジルの2100万トンで、量としては一気に中国の半分未満にまで落ちる。3位はインドの690万トン、4位はオーストラリアの570万トン、5位はロシアの380万トン、6位はベトナムの350万トンと続く。日本の同盟国であるアメリカの埋蔵量は190万トンで、世界全体の約2%にとどまる。

 上位国の顔ぶれは多様でも、中国ほどの「量と加工能力の組み合わせ」を備える国は少なく、埋蔵量ランキングの差がそのまま供給力の差として表れやすい。

米カリフォルニア州のマウンテンパス鉱山|MP Materials via AP

 ロイター通信は、こうした資源分布の偏りを背景に、中国が世界のレアアース生産の約90%を支配する状況になっていると指摘する。特に重希土類の分野では代替供給源が限られ、産出国が増えても精錬や分離の工程で中国に依存するケースが多いことが、実質的な支配力を固定化させている。

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Text by 青葉やまと