休憩スペースにも!? トラック運転席上の“謎パーツ”、奥深い正体とは
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トラックの運転席の上部に、気になる空間がついていることがある。本来であればこの部分は、バスの前部のようなシンプルな箱形となっていてもおかしくない。しかし、フロントガラス上端から荷台部分の屋根までをつなぐようにして、なだらかなアーチを描くパーツがよく取りつけられている。エアデフレクターと呼ばれるこのパーツには、主に3つの機能が詰め込まれている。ものによっては、人が入れる知られざる空間を備えたものも存在する。
◆空気の流れをなめらかにする
エアデフレクターはその名の通り、空気の流れを整える役割を担っている。これが1つめの主な役割だ。いすゞ自動車はウェブサイトにて、エアデフレクターをつけた場合の風の流れを解説している。それによると、トラックの正面から当たった風は、カーブを描いたエアデフレクターの表面を素早く伝いながら流れを変え、ボディに沿って車体後方へとスムーズに逃げる。
このとき、渦状の気流の乱れが生じると空気抵抗が増す原因となるが、エアデフレクターによって空力特性が改善されることで、風はよりなめらかに通過する。空気抵抗を下げることで燃費低減につながるうえ、ひいては環境保護にも貢献する。
走行速度によっては、空気抵抗は車体が受ける抵抗のかなりの部分を占めることがある。そのため、対策は重要だ。車両が前進する際に受ける抵抗には、タイヤの回転と逆方向に働く転がり抵抗や、坂道で生じる登坂抵抗、そして空気抵抗などがある。このうち空気抵抗は、中国のトラック会社であるジナン・トラックマン・オートモービルによると、速度が増すにつれて全抵抗のなかでも顕著な割合を占めるようになる。時速100キロで走行している際、空気抵抗は全抵抗の40%に達するという。