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出身者が「戻りたい」都道府県ランキング Uターン意欲調査

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◆6位 宮城県 24.0点

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宮城県出身者は、進学や就職で東京圏などに移る人が多い一方で、地元に対して前向きな感情を持ち続ける層が厚い。今回の結果では「すぐにでも戻りたい」「いつかは戻りたい」「戻ってもよい」のいずれも全国平均を上回り、戻るタイミングや形はさまざまでも「宮城へのUターンを選択肢として常に意識している」人の多さがうかがえる。

東北最大の都市である仙台市にはオフィスや大学、医療機関が集まり、沿岸部や内陸には農林水産業や製造業も広がるため、都市部で得たスキルを持ち帰って生かしやすい土壌がある。適度な都市規模と海や山への近さ、首都圏より抑えめの住宅費は、子育て期やセカンドキャリアを考える世代にとって魅力になりやすいポイントだ。自治体や地元企業が、県外在住の出身者向けにオンラインでの移住相談や求人情報の発信、節目の帰省に合わせた就職イベントなどの受け皿を整えられれば、「いつか宮城に戻る」という漠然とした思いが、より具体的な行動へとつながっていきそうだ。

◆5位 神奈川県 24.5点

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神奈川県出身者は、進学や転勤でいったん他地域へ移る人が少なくないが、「状況が整えば地元に戻ってもよい」と考える、比較的ゆるやかなUターン志向が目立つ。今回の結果でも「戻ってもよい」と答えた割合が全国平均よりかなり高く、「今すぐ・必ず」という強い決意ではないものの、神奈川を将来の居住候補に入れ続けている人が多いことがうかがえる。

横浜や川崎、湘南エリアなどには製造業や港湾関連、IT・サービス、研究開発拠点まで多様な仕事が集まり、東京圏と一体となった労働市場を形成している一方で、住宅費や通勤混雑を理由に一度は他地域へ移るケースもある。海や山が近い環境や、都心にも出やすい立地のバランスは、子育て期やセカンドキャリアを考える世代にとって改めて魅力になりやすい。県外や海外で経験を積んだ出身者に対して、企業や自治体がリモートワーク前提の採用や副業人材の受け入れ、神奈川に戻ったあとも全国とつながり続けられる働き方の選択肢を示せるかどうかが、実際のUターンを押し広げる鍵になりそうだ。

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Text by 切川鶴次郎